約 5,750,644 件
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/759.html
「ふたば系ゆっくりいじめ 351 久城学園の飼育/コメントログ」 めーりん… -- 2010-06-16 15 37 40 めーりんの仇はふらんがとってくれたよ…多分。 -- 2010-07-09 12 40 24 めーりんが可哀想でゆっくり出来ない・・・ -- 2010-09-25 05 24 22 めーりんェ… -- 2010-10-06 22 35 28 めーりんは犠牲になったのだ… -- 2010-10-18 14 07 57 作者は馬鹿 -- 2010-11-20 13 40 19 別にめーりん虐待してもよくね?、いやなら愛でWikiいけよ -- 2011-02-23 06 58 17 まぁ一般的には希少種虐めはゆっくりできないよな、ムカつく要素を持ってないから でいぶとかゲスとかレイパーとか森賢はそこにいるだけで潰したくなるほどムカつく -- 2011-03-20 23 30 33 匹とか人とか個とか使い分けてていいな -- 2011-04-05 13 20 43 めーりんの中身は辛いんじゃなかったっけ? ゆっくりは口に入れるだけでも死ぬ、クズの帽子は外れない めーりんは餡子食って逃げたか、保護されてるんじゃね? -- 2011-10-07 00 48 56 めーりんと良いゆっちゅりーとれいむとゆうかは俺としては愛で(うどんげも) その他のゲスゲロとかゲスれーまりはしね -- 2012-04-24 16 31 21 cbsghhr -- 2012-05-18 20 20 40 めーりんは後のSSで無事生きてるみたい -- 2016-01-27 00 42 24
https://w.atwiki.jp/mobilegamesrio/pages/36.html
<邪気眼コピペ改変> 523 最低人類0号 sage New! 2011/08/07(日) 12 51 51.32 ID 3L16m0Kj0 中学の頃カッコいいと思って 友達もいないのに全力スレ行って、突然オフ会の募集して 「っぐわ!・・・くそ!・・・また動きだしやがった・・・」とか言いながら息を荒げて 「歯車がまた起動したみたいだな・・・」なんて言ってた スレ住人に「また来てるの?」と聞かれると 「っふ・・・・魔法(自分で作った設定で俺の持ってる謎の能力)を使えぬ物にはわからんだろう・・・」 と言いながら自己紹介板に消えていく 夏期講習中、静まり返った教室の中で「うっ・・・こんな時にまで・・・今度は狩猟笛だ」 と言って教室飛び出した時のこと思い返すと死にたくなる 自己紹介板で質問してて集中の効果を回答者に 「カレーの話はもういいです!他に質問もないし早く答えてください!」と聞いたときも 住人は俺がどういう馬鹿だか知ってたらしくその質問は「なにがですか?」で終了 毎日こんな感じだった でもやっぱりそんな痛いキャラだと住人に 「ギルカ見せろよ!ギルカ!」とか言われても 「・・・ほら・・・トリップ教えた参加者がいるでしょ!」とか言って自演して wikiに晒されたりしてた、そういう時は何時も関西人憑依させて 「あんたらりおちゃんいじめたらあかんで!」って一瞬蜜柑が駆けつけたふりして 「イケメンいますか?またメールします」と言ってスレを思いっきり私物化した そうやって誤魔化して日付とIDが変わるのを待った 全力と自己紹介だけならともかく、武器スレでまで絡まれると悪夢だった 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1735.html
あまりいじめていないので、ハードないじめが見たい方は読むとがっかりするかもしれませんのでご注意を プロローグ まりさは、色々あった末に出合ったれいむとつがいになりました。 完 「「ゆっくりしていってね!」」 昇る朝日をバックに、元気のいい二匹の声が響きます。 「きょうかられいむたちはふうふなんだね!」 「そうなんだぜ! ここからまりさたちのみらいへとつづくえいこうのろーどがはじまるんだぜ!」 警戒心という概念を知らない二匹の野生動物は、見通しのいい野原の真ん中で大声を上げながらもち肌ほっぺを擦り合わせます。野生動物に見つかるとか、そういう危険は全く考えていないようです。 しばらくすると、擦り合わせていたほっぺを名残惜しそうに話して、まりさはこう言いました。 「そろそろごはんをあつめにいこうだぜ!」 「ゆっ! そうだね!」 れいむは頷くと、ぽよーんぽよーんと跳ねて狩場に向かっていくまりさの背中を追って跳ねだしました。 しばらくすると狩場に着きました。そこはまりさがれいむと出会う前から知っていた虫やお花がたくさんあるステキなゆっくりプレイスです。 「ゆ、ゆわー!」 そのあまりのゆっくりっぷりに、れいむは瞳を輝かせて辺りを跳ね回ります。そんなれいむを見て、まりさは「ゆっへん!」と誇らしげに胸を張りました。でもれいむはゆっくりプレイスに夢中で気付きませんでした。 「じゃあまりさはかりにいってくるんだぜ! まりさはかりがとくいなんだぜ!」 「ゆ! れいむもてつだうよ! れいむはまりさみたいにとくいなことはないけどまりさのやくにたちたいんだよ!」 「ゆーん! れいむはやさしくてかわいくてまさにりそうのつまなんだぜ! じゃああっちのおひさまがこっちのあのへんにきたらまたここにもどってくるんだぜ!」 「あっちのおひさまがそっちのあのへんのそれっぽいところにきたらだね! ゆっくりりかいしたよ!」 通じてるんだか通じてないんだかよくわからない表現で集合時間を決めた二匹は、お互いに背を向けてぽよーんと軽快な音を立てて跳ねていきました。 「ゆっくりたいりょうだよ!」 虫さんやお花さん、キノコさんや木の実さんをたくさんお帽子に詰め込んだまりさは、れいむの驚く顔を想像して鼻歌など歌いながら先程の集合場所へと戻っていきます。 しばらくすると、れいむの後姿がまりさの視界に入りました。まりさはれいむに向かって大きく跳ね上がり、声を上げました。 「ゆっくりもどってきたよ!」 そして、れいむの横に詰まれているたくさんの食べ物を見ると同時に、まりさの誇らしげな表情が曇ります。 そんなまりさの様子には気付かずにれいむは戻ってきたまりさに笑顔でお返事をします。 「ゆっくりおかえりなさい! ゆゆ! ごはんがいっぱいだね! さすがまりさだよ!」 れいむは笑顔でそう言いながら、まりさのほっぺにすりすりをします。 しかし、まりさはすりすりを返しませんでした。何故なら、まりさの集めてきたごはんと、れいむの集めてきたごはんはほとんど量が変わらなかったからです。差は大体、木の実が2つか3つ分程度でしょうか。 それは狩りが得意なまりさのプライドを少しばかり傷つけました。 「れいむこそ、こんなにたくさんのごはんをあつめるなんてすごいんだぜ!」 が、そんな事で露骨に顔色を変えるほど器のゆっくりしてないまりさではありません。そう言いながら、笑顔でれいむに向き直ります。 「ゆぅ~、そんなことないよ! まりさにはかなわないよ! やっぱりまりさはれいむのじまんのおっとだよ!」 れいむは純粋にそう思ってまりさを褒め称えます。だからこそまりさの胸のうちにはもやもやした物が溜まるのです。 「きょうはもうこのへんにしておいてやるんだぜ! でもあしたはまりさのほんきをみせてあげるからかくごしておくんだぜ!」 「ゆゆ?! もっとすごいの?! まりさかっこいい!!」 だからつい、そんな正義の味方にやられた悪役みたいな事を口走ってしまったのです。 そして、次の日。 「これがまりさのぜんりょくぜんかい!」 ごはんを詰め込みすぎて被って移動する事ができなくなったお帽子を口に咥えてずるずると引き摺りながら、まりさは器用に叫びました。ご飯がたくさんなこのゆっくりプレイスにおいても、このごはんの取得量は異常といってもいいでしょう。伊達に狩りが得意と公言しているわけではないのです。 「こんどこそまりさのかっこいいとこみせてやるんだぜ!」 れいむは昨日で既にまりさをかっこいいと思っているのですが、一晩たったまりさの頭の中では傷ついたプライドが作用してれいむのあの言葉を情けと解釈してしまっていました。 今度こそれいむに心の底からの賞賛の声を。それだけを思ってまりさはここまで頑張ったのです。 『まりさすごいよ! ゆっくりしすぎだよ!』 瞳を輝かせてまりさを褒めちぎるれいむの姿を想像して、まりさは気分を昂揚させます。 しばらくして、まりさはれいむの姿を見つけました。れいむもまりさに気付いたようで、瞳を輝かせながらスタコラサッサと走りよってきます。 「ゆっくりおかえりなさい! ゆぁー! すごいよ! ごはんがいっぱい! まりさゆっくりしすぎだよ!」 れいむはまさにまりさの望んでいたセリフをまりさに向けて発しました。 まりさは、口に咥えたお帽子のつばを離します。 返事をするためではありません。れいむの背後にあるごはんの山を見つけてしまったからです。 「すーり、すーり、しあわせー!」 まりさのほっぺにれいむのもち肌がこすり付けられます。しかし、まりさはそれに気付かないほどショックを受けていました。 れいむが集めたごはんと、まりさが集めたごはんの差はほとんどありません。せいぜいが木の実2つ分かそれ以下です。まりさが本気を出す前よりも、差が詰められています。 まりさは本気じゃなかったけど、れいむも本気じゃなかった。 この事実は、まりさの心に重くのし掛かります。 「れいむ、まりさはたびにでるのぜ」 「ゆ?! どうして?! まだふうふになったばっかりだよ?!」 「がまんしてほしいんだぜ。まりさはれいむにふさわしいゆっくりになりたいんだぜ。だからすこしのあいだしゅぎょうのたびにでるんだぜ」 「まりさ……」 れいむが寂しそうな顔でまりさの顔を見つめますが、まりさの決意は固く、そのような目で見られた程度では揺らぎはしませんでした。 「ゆっくりりかいしたよ……」 やがてれいむは諦めたのか、しかし哀しみは隠し切れずに涙を滲ませながらぽつりと呟くように言いました。まりさは、すぐ戻ってくると一言だけ告げると振り返らずにそのままぽよんぽよんと走り去りました。 狩りがうまくて格好いい自分を取り戻し、れいむに相応しいゆっくりになると心に決めて。 それからまりさの厳しい修行の日々が始まりました。 ゆっくりできない虫さんと戦ったり、 蜂の巣を抱えたまま蜂さんから逃げたり、 ひゃっはーと叫ぶ変な人間さんから逃げたり、 意味も無く滝に打たれてみたり。 修行は熾烈を極めました。 しかし、その甲斐あってまりさは、全盛期の自分を越えるほどの狩りの実力を手に入れる事ができたのです。 「げきりゅうにみをまかせどうかするのぜ」 まりさが開眼した狩りの真髄です。意味はわからないけど、とにかく凄い自信を纏っています。まりさはれいむの待つ自分のおうちへと足を向けました。 これならいける。格好いい自分をれいむに誇れる。 そう思っていました。 この時までは。 「どうぢでれいむよりぎのみざんがいっごおおいだげなんだぜー?!」 「こんなにごはんをあつめられるなんてやっぱりまりさはすごいね!」 確かにまりさの修行の成果は凄まじいものでした。修行以前のまりさと比べて量だけでも三割増し、さらにごはんの質もおいしくて栄養の高いものが揃っています。しかしそれはれいむの集めたごはんも同じ事。むしろ質ではれいむの方が上回っているかもしれません。 納得がいかないまりさは涙目でれいむを問い詰めます。 「なんでれいむはこんなにがりがじょうずになっでるんだぜー?!」 「わずかなじかんをみつけてれんしゅうしたけっかがこれだよ!」 褒められたと思ったのか、れいむはやけに誇らしげな顔をしています。 しかし、あの過酷な修行の日々よりも、れいむの『わずかなじかん』の方が意味があるという事実はまりさの心を深く抉ってしまいました。まりさはもうこの先何を信じて生きていけばいいのかわかりません。 茫然自失とするまりさ。れいむは不思議そうな表情を浮かべながらまりさの周りをぐるぐるとまわります。 と、その時です。急に近くの茂みががさがさと蠢いて、そこから何かが飛び出してきました。 「「「「んほぉー! ありすをすっきりさせてねぇー!」」」」 なんという事でしょう。飛び出してきたのはれいぱーありすでした。このSSはれいぱーオチだったのです。 「「「ありずはゆっぐりでぎないー!!」」」 茫然自失としていたまりさもこれには驚き怯え、れいむと一緒に必死に飛び跳ねます。 「「「ありまりもいいけどありれいもいいわぁー!!」」」 「ゆ゛あー!」 が、駄目。まりさの背後にいたれいむは、ありすのうちの三匹にあっさりと捕まってしまいました こうなってはまりさも逃げてはいられません。色々思うところはありましたが、まりさは結局れいむが大好きなのです。 「れ、れいむー!!」 意を決して踵を返すまりさ。が、その行く手をもう一匹のありすが阻みました。 「ありまりがじゃすてぃすなのよぉー!」 ありすはそう叫びながらまりさに向かって飛びかかってきました。まりさはマジ怖いですと思いましたが、まりさはかつていた群れでは一番の武闘派で対ゆっくり戦闘では右に出る物はいなかったほどのツワモノ。 れいむへの愛と武闘派としてプライドでなんとか恐怖心を振り切り、目の前のありすに立ち向かいました。 それからなんか色々あって、なんやかんやでまりさはありすに勝利しました。 「ごべんなざいー! もうじまぜんがらゆるじでぐだざいー!」 ぼろぼろになったありすは泣きながらずりずりと這って逃げていきました。 「ゆ、ゆっぐりれいむをだすけるんだぜ……!」 息を切らしながらもなんとかれいむが襲われている現場に到着します。 と、そこにはぼろぼろと涙を流すれいむと、ボロボロになった金髪のザコが三匹転がっていました。 周りに他のゆっくりの姿はありません。つまり、れいむがこのありすを倒したという事でしょう。まりさがありす一匹を追い払う間に。 「ま、ま゛りざー! ごわがっだよー!」 滝のような勢いで涙を流しながら、れいむはまりさの胸に飛び込みました。 しかしまりさはれいむを慰められません。武闘派としてのプライドが粉々に砕け散ったショックで茫然自失としています。 まりさは考えます。 どうしてれいむはまりさよりも楽して狩りが上手になれるのだろう。 どうしてれいむはまりさよりも強いのだろう。 まりさは狩りが得意なのに。 まりさは戦うのが得意なのに。 れいむは得意な事なんか何も無いのに。 狩りが得意じゃないれいむが、戦うのが得意じゃないれいむが。 狩りが得意なまりさよりも、戦うのが得意なまりさよりも。 もっと上手に狩りができるなら、戦うことができるなら。 ひょっとして狩りが得意なまりさは、戦うのが得意なまりさは。 ここにいる意味が無いんじゃないだろうか? そんな考えがぐるぐると頭の中を巡っていき、次第にまりさはどんよりした重く暗い、ゆっくりできない気分になってきました。 そんなまりさの背中を、何かが優しく叩きました。まりさはなんだろうと思って振り替えります。 そこには二匹のゆっくりがいました。 その片方の、金色の髪で黒い帽子を被った線目で元気の無さそうなゆっくりがまりさに言いました。 「うっつりしてるね」 そして、もう片方の緑色の髪で赤いリボンをつけたぐるぐる回ってるゆっくりがまりさに言いました。 「やっくりしてるね!」 二匹はゆっくりるなさとゆっくりひな。それぞれ鬱い心と不幸な生き物が大好きなゆっくりです。 「ゆ? まりさのおともだち? まりさはゆっくりしたおともだちがたくさんいてすごいね!」 「「「ゆっくり(うっつり)(やっくり)していってね!」」」 五秒ほどで仲良しになった三匹は、ゆーゆーと鼻歌を歌いながら楽しそうにまりさの周りをぐるぐると回り始めました。 その輪の中心で、まりさは叫びました。 「どうぢでゆっぐりでぎないんぜー?!」 あとがき 「得意なものが何も無いれいむは無能」という意見が多いのを見て、「長所が無いって事は全部の能力が均一って事であって別に無能ってわけじゃないんでは?」等と思い、初めてSSを書いてみました。しかしwikiに置いてある作者の人たちのようにうまくはいかないものですね。 とりあえず自分で読んでいて恥ずかしくないくらいまで腕を上げてから出直してきます。ここまで読んでくれた方、本当にありがとうございました! このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/389.html
とある人間の家、ちゃぶ台の上に置かれた透明の箱に ゆっくりまりさがふてぶてしい顔で閉じ込められていた。 正面には家の主であろう人間がまりさを見つめて座る。 「さっさとまりさをここからだしてね!ゆっくりできないひとはさっさとしんでね!」 言いながら抵抗を試みるが、少しきついくらいの箱に押し込められたまりさは 跳ねる事も、頬を膨らませる事も、顔の向きを変えることすら出来ない。 「そうは言うけどねまりさ、勝手に人の家に入って暴れたゆっくりには お仕置きしないといけないんだよ」 「なにいってるの?ここはまりさのうちだよ?ばかなの?しぬの?」 このまりさは勝手に家に上がりこんで自分の家宣言をしてから、 目の前の人間に捕らえられてもう1日は経っていた。 テンプレート通りの返答が帰してはいるが、 既にここが人間の家だと言う事はわかっている。 実際、自分の家宣言をしたゆっくりをちょっと痛めつけたら、 「ごべんだざいぃぃ!ここはまりざのうちじゃだいでずぅぅ!」 と泣いて謝ったと言う事例が何件もあるそうだ。 だが「自分の我侭を押し通す事=ゆっくり」であるゆっくりにとって、 自分の間違いを認めるのは強い抵抗がある事だった。 「まりさはおなかがすいたよ、さっさとごはんをもってきてね!」 自分を箱の中に閉じ込めた目の前の人間に、傲慢な態度をとるまりさ。 その様子に呆れながらも、人間は透明な箱の蓋を開けた。 蓋に押し付けられていた帽子がびょん、と元の高さに戻る。 「ゆ?だしてくれるの?まりさをだしたらごはんをもってきてね、 それからまりさをとじこめたことをゆっくりあやまってね!」 自分を出してくれるのだと安心しきった笑みをこぼそうとするが、 顔面が壁に押し付けられるほどきつめの箱に入っているので ゆがんだ表情は笑いを誘っているようにしか見えない。 そんな馬鹿面を引っ張り出し、帽子を取り上げてちゃぶ台の上に押さえつけてやる。 饅頭の頭に手がめりこみ、箱に合わせて四角くなっていた体が ぐにっと楕円形に歪められた。 「ゆぐっ!やめてね!さっさとてをはなしてね!」 と叫ぶまりさを横向きにし、ちゃぶ台の下から取り出した包丁で 前後の丁度中間の位置で2つに切り分ける。 「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 餡子に直に刃を入れられ、体の上から下まで突き抜ける痛みに まりさは叫びだした。眼球はこぼれ落ちるのではないかと言うほど飛び出し、 切断面と口からはどろりとした餡子が流れ出る。 このままでは餡子を出しすぎて絶命してしまうので、 2つに切り分けた頭部それぞれを、切断面を上にするように倒す。 なみなみと餡子を入れたボウルが2つ並んでいるかのようになると 前面だったものは自分の重さで顔面をちゃぶ台に押し付けられ、 「ゆぐぅぅぅっ!ゆぐぐぅぅ!」 と今だ続く激しい痛みに嗚咽を漏らす。 顔がつぶれ苦しいのか起き上がろうとするが、足にあたる底面ごと半分になった体では うまく起き上がる事ができず、ゆらゆらと揺れるだけに留まる。 背面だったものは細かくビクッビクッと痙攣するだけである。 前面と背面がちょうど半分になるように包丁を入れたので、 どちらのボウルにも餡子は5割ずつ。ゆっくりが思考能力を失うのは 餡子が全体の5分の2になったあたりらしいので、まりさはぎりぎりの量で 思考を許され、苦痛から逃げる事が出来ないでいる。 人間は2つに分かれたまりさが、どちらも死んでいない事を確認すると 今度はちゃぶ台のしたからオレンジジュースの入った水差しを取り出し それぞれのボウルに注ぎ始めた。 「ゆ゛ぎゃぁぁぁっ!?ぎぃぃぃぃ!」 むき出しになった餡子に勢い良くジュースが落ち、鋭い痛みがまりさを襲う。 だが神経にさわるような悲鳴とは裏腹に、前面、背面とも再生能力が上がり 元々は1つだった半身それぞれが1匹のゆっくりになる様に再生してゆく。 まるで酸をかけて溶ける饅頭のビデオを逆回しで見ているかのような光景である。 前面だった体は綺麗な金髪のロングヘアーがするすると伸び、 背面だった体は大きな口とゼラチン質の眼が復活する。 完全な体になった2匹のまりさはぐるんと起き上がった。 「「ゆふーっ!ゆふーっ!ゆふー……」」 先ほどまで前面だった『前まりさ』はずっと悲鳴を上げ続けて居た為 涙を流しながら息を整えようとするのだが、最後に顔面が修復された『後まりさ』も なぜか同じように息を荒くし涙を流し始めた。 半分となった背面側の餡子にも記憶や苦痛がしっかりと残っていたのだろうか。 やがて呼吸が整いだすと、2匹のまりさは口を揃えて苦情を言い出した。 「「なんでこんなことするのぉぉぉ!」」 「ゆっくりできないひとはさっさとしね!」 「まりさのいうとおりだよ!ゆっくりしないでしんでね!」 同じ顔をした饅頭が横に並んで、涙目になりながら訴えてくる様子が微笑ましい。 そんな2匹の前に、先ほど取り上げておいた帽子を置いて見せてやる。 「ゆっ!まりさのおぼうしさっさとかえしてね!」 「ぼうしがないとゆっくりできないよ!」 と2匹それぞれが1つの帽子に向かって跳ね、お互いの側面に勢い良くぶつかると 弾力のある体にぼよんと跳ね返されて、お互いに足を向け合うような形で転がった。 「ゆべっ!?なんでぶつかってくるのぉぉ!?これはまりさのおぼうしだよ!」 「なにいってるの?これはまりさのぼうしでしょ!ゆっくりうそつかないでね!」 2匹ともこれは自分の帽子だと引こうとしないが、同じ餡子から再生した 同一人物なのでどちらも間違ってはいない。 「どっちのまりさも、これが自分の帽子で間違いないのかな?」 「ゆっ、そうだよ!これはまりさのぼうしだよ!」 「ちがうよ、このぼうしはまりさのものだよ!」 「そうか…それじゃどちらかのまりさが、嘘をついている偽者と言う事になるな」 「「ゆっ!?!?」」 どちらも本物であるが、ゆっくりに説明してもわかるまい。 「まりさがほんものだよ!うそつきのまりさはどっかいってね!」 「ほんもののまりさはまりさだよ!なんでうそつくのぉぉ!?」 1人称、2人称ともに『まりさ』なのでわかりにくいが、 「私が本物でお前が偽者ぜ!ほんとぜ!」と言い合っている。 傲慢で短気なまりさ種なら大抵「うそつきなまりさはさっさとしね!」と 暴力で解決しようとするものだが、同じ餡子から再生し自分と寸分も違いの無い相手に どこか戸惑いを感じてもいるようだった。 もしかしたら、このまりさもまりさなのかも─── 「どっちが本物かはわからないけど、本物だったら偽者なんかには負けないよね」 「ゆ!?そ、そうだね!ほんもののまりさはとてもつよいんだから、 にせものにまけたりしないよ」 「それじゃ、戦って勝った方がこの帽子を貰うのはどうかな?」 「「…」」 2匹とも黙ってしまう。我侭で自分本位なゆっくりも家族や愛人に情を感じたり、 自分と同じ種、れいむ種同士やまりさ種同士の間で連帯感や信頼感を感じる。 お互い明確にはわかっていないかも知れないが、同じ種どころか同一人物であれば 本能的に争いたくない気持ちが湧いているのかもしれない。 このまりさはまりさとすごくにている。 このまりさとなら、とてもゆっくりできるきがする。 このまりさとなかよくしたい、このまりさといっしょにゆっくりしたい。 でも、ぼうしがなくちゃゆっくりできないし、ぼうしはひとつしかない… 「ゆ、ゆうっ!これはまりさのぼうしだからねっ!」 「ゆ゛っ!?」 先に動いたのは『前まりさ』だった。大きく跳ね『後まりさ』の頭部に 自分の腹部、顎の部分をぶつけようと飛び掛っていく。 「や、やめてねっ!」 このままでは同じサイズのゆっくりに押しつぶされて、そのまま何度も 踏みつけられてしまう。体格差もないのに先制攻撃をうけては、 体制を持ち直すことも出来ずに一方的にやられるのは目に見えていた。 『後まりさ』はタイミングを計って、ぽよんと垂直に飛び上がり 自分の真下に落ちてくる『前まりさ』を時間差で押しつぶそうとする。 「ゆべべっ!」 だが、急に『後まりさ』に避けられて、角度を誤って顔面から落ちた 『前まりさ』は前方への跳躍の勢いを殺す事が出来ず、でんぐり返しの要領で 前方へころんと1回転した。 「ゆゆっ!?どこにいったの!?」 まりさがきえた!?と『後まりさ』は驚愕した。『前まりさ』が消えた落下地点に 底面を叩き付けるように落ち、ぼいんと音を立てて1バウンドする。 バウンドして自由に動けない時間も惜しいと、空中で体を左右にゆすって 『前まりさ』を探すが一向に見つからない。 当の『前まりさ』は『後まりさ』の下をくぐって背面に回っているのだから。 「あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁん!まりざのおがおがぁぁぁ!」 『後まりさ』が自分を見失っている今こそが、『前まりさ』にとって 絶好のチャンスなのだが、顔面から落下した痛みに泣き出してしまった。 前方への跳躍+でんぐり返しによって、既にちゃぶ台の端まで到達している。 目の前に広がる段差は高いものではないが、痛みに悶えるゆっくりは ちゃぶ台から降りて逃げ出そうとするよりも大声で泣き叫ぶ事を選んでいた。 「ゆっ!うしろにいたんだね!」 『前まりさ』の泣き声に気付いた『後まりさ』が振り向くと、 自分に背中を向けてちゃぶ台の端で泣き叫ぶ『前まりさ』の金髪が見えた。 泣く事に必死で『後まりさ』が近づく事にも気付く様子が無い。 『後まりさ』は勝利を確信した。 「まりさのために、にせものさんはしんでね!!」 黙って襲えばいいのに大声で宣言して突進する。 さすがに声に気付いた『前まりさ』が振り向くと、眼前に『後まりさ』が迫っていた。 もう横に飛んでも上に跳んでも避けられる距離ではない。 進退窮まった『前まりさ』は、突進してくる『後まりさ』に向かって小さく跳躍し、 『後まりさ』がぶつけようとしてきたその額に歯を突き立てた。 開けた口に、勝手に『後まりさ』が突っ込んで来たと言うべきかもしれない。 「がっっっ!?」 「ゆ゛も゛っ」 突進の勢いは死なず、額と口がくっついたままの状態でちゃぶ台から落下し、 『前まりさ』が後頭部から畳に激突すると、口から『後まりさ』がすっぽ抜ける。 『後まりさ』の視界は上下逆さまになっていた。 目の前に広がる畳の上にはこちらに頭を向けて倒れる『前まりさ』がいて、 自分はそこから急激に遠ざかっていた。 奇妙な浮遊感を感じ、ふと背中に空気の壁のようなものを感じた瞬間、 「ゆぐっ!!」と断末魔を上げ、べしゃっと壁にたたき付けられた。 背中から放射状に餡子が飛び散り、苦痛に顔を歪めきる間もなかったのか 少し眉をしかめたような顔で壁に張り付いていた。 「ひゅーっ、ひゅーっ、ひゅーっ」 訳)ふーっ、ふーっ、ふーっ ともえ投げと言うにはあまりにも不恰好で、投げ飛ばした方のまりさも 肩で息をするように荒く呼吸をしており、眼の端からは涙の筋が見える。 『後まりさ』に突き立てた飴細工の歯は、勢い良くすっぽ抜ける饅頭の重みに耐えられず 今も壁にはりついた顔の額の部分に数本が刺さっている。 天井を向いて呼吸を整えているまりさに見えるよう、ちゃぶ台の上にあった帽子を 持ってひらひらと揺らしてやる。 そう言えば自分はこの帽子の為に戦っていたのだ。 「ひゅ、まりひゃのびょうひ、かえひへへ…」 訳)ゆ、まりさのぼうし、かえしてね… 何本もの前歯がごっそり無くなったまりさが、ゆっくりとした動きで起き上がる。 2匹でもつれあって落ちはしたが、畳が衝撃を吸収したのか 餡子が飛び散るような破損は無い。それでも満足には動けないようだ。 そのまままりさを誘導するように、帽子をひらひらさせたまま距離を離す。 「ひゃにひへふほ?はっはとかえひへへ」 訳)なにしてるの?さっさとかえしてね 跳ねるのがつらいのか、最後の方はずりずりと這うようにして押入れの前に到着する。 そこで人間は屈み、まりさは距離が近くなった帽子を見上げてぼよんぽよんと 極めて小さく跳ねる。だらしなく口をあけ、餌を待つ雛鳥のようだ。 「本物のまりさなら帽子を返してあげたいんだけど」 「ひゅ?まりははほんももだよ」 「でもね、まだまだこんなに居るんだ」 と言って押入れを開ける。その中を見たまりさは言葉を失って固まってしまった。 まりさがいっぱいいる。 まりさとおなじまりさがいっぱいいる。 押入れの下の段、防音性の広い透明ケースに、帽子の無いまりさが6匹見える。 奥の方は暗くて見えないが、何かがいるような気配を感じる。 その帽子の無いまりさ達は、人間にはただそっくりなだけに見えるが、 まりさの本能が全員同じ、同一人物である事を悟っていた。 混乱したまりさの餡子に、忘れていた記憶が蘇っていく。 人間の家に侵入して、現れた人間にあっけなく捕まって、 必死に抵抗したのに箱に閉じ込められて、 部屋から出た人間がジュースの入った器と包丁を手に戻ってきて… 「ひゅびゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 訳)ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! 思い出した事にまりさは絶叫した。 何度も真っ二つにされ、何度も再生させられ、そんな苦しみを繰り返すうちに 気を失って、そのときに辛い記憶も消し去っていたのだ。 目の前に居る帽子の無いまりさ達は、昨日自分の半身から再生した自分だ。 びゃあびゃあと泣き喚くまりさの頭を掴むと、押入れから透明ケースを引き出す。 見えなかった部分まで光があたり、中にいるそっくりなまりさ達が 眩しそうに眼を細める。その数は9匹だった。 透明ケースの蓋を開けると、中に居るまりさ達がぎゃあぎゃあと騒ぐ。 「さっさとここからだしてね!」 「ゆっくりできないひとはゆっくりしないでしね!」 「おなかがすいたからおいしいおかしをもってきてね!」 「ぼうしがないとゆっくりできないよ!ゆっくりおぼうしかえしてね!」 「そうだよ、それはまりさのぼうしだからかえしてね!」 「ゆ?あれはまりさのぼうしだよ?ばかなの?」 透明ケースからも人間が持っている帽子が見え、 このまりさ達もこの帽子が自分のものだと主張を始める。 ケースの中に歯の折れたまりさをそっと置いてあげると、 人間はまたまりさ達に教えてあげるのだった。 「帽子は一つしかないよ、みんながこの帽子を自分の物だと言うなら、 この帽子の本当の持ち主以外は偽者のまりさなんじゃないかな?」 9匹のまりさ達にざわめきが起きる。この9匹は昨日のうちに餡子から再生し、 食事も与えずに透明ケースに放置したので、空腹やストレスを感じている。 これ以上人間が誘導しなくても、他のゆっくりを倒して本物にならなくてはいけないと 理解したようだ。9匹の視線は、自然と満身創痍で震える新参者に向けられた。 自分とそっくりなまりさ達がにやにやとこちらを見つめ、 じりじりと近寄ってくる。自分自身に殺されてしまう。 相手が自分と同じだと気付いていない自分に。 「ひゃめへまりひゃ、まりひゃはまりひゃびゃひょぉぉぉ──!」 訳)やめてまりさ、まりさはまりさだよぉぉ──! おわり。 その他の作品。 ゆっくりいじめ系791 ゆっくりと瓶 (fuku2335.txt) ゆっくりいじめ系813 赤ちゃんのお帽子 (fuku2368.txt) ゆっくりいじめ系822 ドスの中身 (fuku2386.txt) お帽子の人? このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/ozlime/pages/8.html
@wikiへようこそ ウィキはみんなで気軽にホームページ編集できるツールです。 このページは自由に編集することができます。 メールで送られてきたパスワードを用いてログインすることで、各種変更(サイト名、トップページ、メンバー管理、サイドページ、デザイン、ページ管理、等)することができます ■ 新しいページを作りたい!! ページの下や上に「新規作成」というリンクがあるので、それをクリックしてください。 ■ 表示しているページを編集したい! ページ上の「このページを編集」というリンクや、ページ下の「編集」というリンクを押してください。 ■ ブログサイトの更新情報を自動的に載せたい!! お気に入りのブログのRSSを使っていつでも新しい情報を表示できます。詳しくはこちらをどうぞ。 ■ ニュースサイトの更新情報を自動的に載せたい!! RSSを使うと簡単に情報通になれます、詳しくはこちらをどうぞ。 ■ その他にもいろいろな機能満載!! 詳しくは、FAQ・初心者講座@wikiをみてね☆ 分からないことは? @wikiの詳しい使い方はヘルプ・FAQ・初心者講座@wikiをごらんください。メールでのお問い合わせも受け付けております。 ユーザ同士のコミュニケーションにはたすけあい掲示板をご利用ください 要望・バグ・不具合報告はメールでお気軽にお問い合わせください。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1380.html
「まりしゃ!これからもずっとゆっくりしようね!」 生まれたときから一緒だった。 「まりさ!これとってもおいしんだよ!」 一緒に行動して一緒の物を食べた。 「まりさの髪ってとってもきれいだね!うらやましいよ!」 私の金髪が綺麗だといつもほめてくれた。 「まりさ・・・!がんばってかわいい子供をつくろうね!」 家族になることを決めたときから大家族を目指していた。 「まりさは狩りが上手だね!いつもごちそうありがとう!」 子供が生まれてからは持ち前の運動神経でたくさんの虫や木の実を巣に持って帰った。 「まりさ!だいすきだよ!」 いつも言ってくれた愛の言葉。いっつもいっつも。 私だって好きだった。愛していた。嫌いだったわけが無い。 確かに喧嘩もしたしそっぽ向いたりもしたけど傷つけたいなんて思わなかった。ましてや殺したいなんて思うわけが無い。 思ってなかったのに・・・見捨てた。私は自分の子供を、れいむを見捨てた。見捨ててしまった・・・!!! それに嘘もついた。些細だったはずのその嘘はあの時、子供達にとって唯一の希望だった。 見られもした。顔を見られ、背中も見られた。 違うんだよ。違うんだって。別に嘘は・・・言ったけど・・・あの状況とは違ったから。 仕方ないじゃない・・!私がいてどうなったの?ただ一緒に食われるだけじゃない!助けられるわけが無かったんだよ!! そんな目で私を見ても無駄!呼びかけても無駄!助かろうとすることが無駄! じゃあ私が逃げたことは無駄じゃなかったの? え・・・?なんで?なんでそういうことぉおおおおおおお!!!! 「無駄なわけないよおおおおぉ!!!そんなこと言わないでよおぉおおおおお!!!」 私とれいむは赤ん坊の頃から仲がよくいつも一緒に遊んでいた。 他の子とも遊んではいたけどお互い二人きりで遊ぶのが一番楽しかった。 遊んでいる途中に食べ物を見つけたりすれば二人仲良くそれを分け合った。 れいむは私の周りのゆっくりの中で唯一私の髪をほめてくれた。人間らしい感情だなどと馬鹿にされるかもしれないが そのれいむの言葉は私の体にとても響いた。 ゆっくりという簡単な生き物にとってそういう縁は次第に愛へと変わっていく。 月日が流れるのは早く、私たちが成体へと育った頃にはお互いにそういう意識をし合っていた。 その後の展開は早かった。ご多分に漏れず、私とれいむも将来を誓い合う仲へと発展していた。 交尾、妊娠が終わりれいむの頭に子供が生り始めると私たちは将来の子供達とのゆっくりライフを語り合った。 子供は何匹欲しいだとか、巣はどこに作ろうかとか、人間達に対する意識の持ち方を教えてあげようとか。 突拍子も無い夢や目標を語る私にれいむはいつも微笑んでくれた。それは赤ん坊だった頃から変わること無い笑顔だった。 一ヶ月後、新しく新調した巣には元気な子供達が20匹程騒いでいた。 特別賢くもないが格段に馬鹿なわけでもない、ただ無邪気な子ゆっくり達を見て私は毎日癒された。 母親であるれいむは子供達の世話を必死にこなしていた。 好奇心に負けそうになり巣から出そうになる子供を止めたり、泣き止まない子供に歌を歌ってあげる等 その姿は正に母親の鏡だった。 一方の私はというとひたすら食料集め、狩りに力を注いでいた。 もともと運動は得意だったから普通のゆっくりよりも多くの珍しいごちそうを巣へと運んでいた。 私がそのごちそうの山を運ぶ度にれいむと子供達は目を輝かせて私とごちそうを交互に見比べたのだった。 おいしそうに虫や木の実をほおばる私の家族。 それを見るだけでもまた、私の狩りの疲れはスーッととれていった。 そう、私にとっては家族の幸せが何よりの食事だったのだ。そうだ。そのはずだ。 だからこそ私は体が泥だらけになってもおいしいごちそうを持ってきたのだ。ほらね。間違ってない。 そんな私をれいむはもちろんのこと、子供達も尊敬していた。当たり前だけどね。 「おとーさんはすごいなあ~。こんなにおいしい食べ物をいつもとってくるんだもん!」 「湖で遊んでた子達にまりさ達のお食事の話をしたらみんなだらだらよだれを垂らしてんだよ!」 「ねーどうしておとーさんはそんなにすごいの?」 子供達はいつも私に質問をしてきた。それは大きくなったら私のようになりたいという思いからきていたのだろう。 「ゆっ!それはね~」 軽い気持ちだった。別に信じてもそんな場面が実際にあるわけないとタカをくくっていたのだ。 「おとーさんはれみりゃ二匹をいっぺんに倒してゆっくりと食べことがあるからだよ~!」 「ほんとー!?」 「ゆぅぅ!!すごいよおとーさん!」 「れいむ今度友達に自慢するよ!」 「だめだよ!これを知られるとれみりゃが嫉妬してその子達を襲っちゃうかもしれないからね!この話は誰にも内緒だよ!」 「ゆぅ・・・わかったよ、おかーさんにもいわないよ!」 「誰にも内緒だよ!」 「ゆっ!みんな良い子だね!」 これでこの嘘は誰にもバレずに私は子供達からより多くの尊敬を集めることができる。 親ならば一度はやるであろうそんな行為。ただそれだけのちょっとした嘘だった。 あの日。 私はいつも通り巣からちょっと遠出し、子供達のためにごちそうを集めていた。子供達の為に。 夕方、捕食種も出てくるこの時間にまともなゆっくりは出歩いたりはしない。 だが、私は捕食種からも逃げ切れるだけの逃げ足を持っているのでこの時間ギリギリまで食事を集めていた。 それでももう日も暮れはじめている。ここが瀬戸際だ。 私は口の中いっぱいにごちそうを詰め込み家路につこうとした。そのときだった。あれは、私の5m程先を飛んでいた。 「「「う~う~かりかり~♪」」」 捕食種の代名詞ゆっくりれみりゃ。通称れみりゃ。我がままで団体行動がまともにとれないくせに他のゆっくり種よりも 攻撃性、腕力がある為に捕食種として幅をきかせている、正直腹立たしい生き物だ。 そんなれみりゃが・・三体?どうして? 野生のれみりゃなら一匹でも十分食事は確保できるはず。一匹で行動する方が手慣れているれみりゃが三匹とはいえ群れを作るなんて。 だがその時はそんなことは大して気にならなかった。 重要なのは彼らが私に気づかずにどこかに消えてくれることだった。 息をひそめてれみりゃが見えなくなるのを待った。 人でいう五分程だろうか。れみりゃ達は私の視界から完璧に消えた。 今日も生き残ることができた、緊張から解き放たれた私はふぅと一息吐いた。口の中から虫の足がひょっこりと出てくる。 ああそうだ、このごちそうを早く子供達とれいむに食べさせてあげないと。私も早く帰らないと。 木陰から這い出た私は再び家路につきはじめた。 ここで気づく。今私が進んでいる道。この道は・・・あああこの家路はああああ 今れみりゃ達が進んでいった道だああああああああああ!!!! 私は急ごうとした。れみりゃ達よりも速く家に着こうとした。だけど・・だけどお!!! 進んだられみりゃが前にいるぅ!!三匹もいるから回り込んでたら気配で気づかれるよぉ!!! 私はその場で立ちすくんだ。進めばれみりゃ、止まれば家族が・・・ どうしようどうしようどうすればどうすればどうすれば ああああああああああああああああああああああ 待とう。 今行ったられみりゃに食べられる。そしたら家族には何も伝えられない。そうだ、この判断は正しい。 普通のゆっくりには到底思いつかない冷静な判断だ。そうだそうに違いない。 れいむも子供達も同じことを言うだろう。よし待とう、そうしよう。 こうして私はその場所ですこーしだけゆっくりした。別に怖かったわけではない。これは作戦だ。 家に着いたばかりのれみりゃ達の虚をつく。私ならできる。そうだあれは作戦だったのだ。そうに違いない。 だから私が一眠りしてしまったのも作戦だったのだ。体力温存の為の作戦。そうに違いない。 目を覚ますと外はもう夜だった。綺麗な月が出ていたこと、それが三日月であったことは覚えている。 ただ、そこからどうやって家族のもとへ行ったのかは覚えていない。 気づいた時には体中傷だらけで自分の巣である木から10m程離れた所の木陰にうずくまっていた。 私は静かに巣の様子を覗いた。あのれみりゃ達がここをスルーしてくれていることを願って。 だがそこには奴ら三匹が当然であるかのように立っていた。 そして聞こえる笑い声、叫び声、泣き声。 あぁ、一体何匹が犠牲になったんだろうか。せめてその中にれいむは、れいむだけはいないことを願うしか無い。 暗い夜が三日月の光のおかげで幾らか明るんでいる。 いつもだったら子供達と一緒に軽くこの辺をお散歩しようと思う程のいい夜だった。 だが今日は違う。一緒にお散歩ができる子供達が今や1、2、3、・・・ あれ?全員確認できる。子供達どころかれいむもはっきりと生きている。 じゃあいったいれみりゃ達は何をしているんだ。まさか遊びにきているわけではないだろうに。 この瞬間、私はさっき聞こえていた叫び声と泣き声を完璧に忘れていた。 その二つの声が遊んでいる時に聞こえてくるわけが無いのに。 しかし、その甘い考えも次に聞こえてきた悲鳴で軽く吹き飛ぶことになった。 「いやあああああ!!!おくちがあああああああ!!!」 「う~!お口もっとかぱかぱしろ~!」 その悲鳴はれみりゃの一匹が私の子供の口を限界以上に開こうとした時に我が子から発せられたモノだった。 一体そんなことをして何になるのか。れみりゃは執拗に子供の口をカバの様にしようとしているらしい。 「いはあああああああ!!!おふひがはけふうううううう!!!」 「なれ~!かばさんになれ~!う~!!」 「ふ、ふりだよ~!ほれいほうひらはなひよぉ~!!」 「わっからな~い♪なにいってるのかわっからな~い♪う~!うぅぅぅぅ~!うっ!!」 あぁ!とうとう力任せにれみりゃが子供の口を引き裂いた!れみりゃの手にピピッと餡子が小さく飛び散る。 当然子供はその痛みに黙って耐えられるわけが無い・・ 「いはああああああんんんっっむごああはあああああんんっむごはあああああ!!!!」 「うっう~!ぱかぱかぱかぱか~♪」 叫び続ける子供におかまい無しに口をぱかぱかと閉じたり開いたりさせるれみりゃ。 止むことの無い子供の叫び声がれみりゃの手によって滑稽な声へと変わっていく。 「う~あきた~う~」 もう飽きたのか子供の口の開閉を止めるれみりゃ。そのままここから立ち去ってほしい。 そんな願いが届くわけが無いことは今日彼らを見たときから分かっていた。 「おめめぶちゅ!」 おもむろにれみりゃは口裂けの子供の眼に指二本を差し込んだ。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」 まるでお化け提灯の様に口が開きっぱなしの子供にはそれ以外の叫び声ができなかった。 その痛みが私の耳を通して共感できる程に、その叫び声は痛ましい。 「ぱかぱかがこれでりゃくりゃく~!れみりゃてんさい!う~!!」 眼に指を引っかけることができるので握る手間が省けた、ただそれだけで私の子供の眼を奪ったというのか・・・ 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛おがあああざあああんはあ゛あ゛あ゛あ゛!!!おどーざあああああんはあ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 やめて。呼ばないで。今は助けにいけない。まだそのチャンスはきていない。それが来るまでここで待たなきゃいけない。 「おどおおおおざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛んんはあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 無理、助けにいけない。その場の空気がまだ適した物じゃない。 「どおおおおおおおおおおざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛はあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」 無理だって・・・!気づいてよ・・!れみりゃ三匹が戦闘態勢にすぐにはいれるこの・・・並び・・布陣?そう、布陣。 それがしっかりしている今は助けにいけない。今は耐えて・・・! 「どお゛お゛お゛お゛お゛はあああああ・・・・」 声が止んだ。 「う~ねむっちゃった~」 「じゃあつっぎ~♪」 「いやああああ!!どおしでええええ!!!どおしてこんなことするのおおおおおお!!?」 れいむの叫び声が聞こえる!そうだ、何ですぐ食べないでこんなことをわざわざ三匹でするんだ! 「にんげんにきいた~♪」 「たっくさんいじめると~ゆっくりはとっってもおいしくなるって~♪」 「だかられみりゃたちでいじめるの~♪おいしいゆっくりあまあまするため~♪」 そんな・・・私たちにそんな恐ろしい呪いの様な特徴があったなんて・・・ ということはあそこにいる皆今の子供みたいに酷い目にあうことになるの・・? 改めて目を凝らす。 10匹しっかりといる子供の五匹はもう既に大地に寝そべっている。 皆どこかしらからか餡子を少し垂れ流している。 あれで生きてるなんて。余程このれみりゃ達は手慣れているのだろう。 じゃあ、私が今あそこに躍り出ていったら。 まだその時期じゃない。チャンスを待つんだ、チャンスを。 「おねがい!もうやめて!れいむがなんでもしますからぁ!!!」 え?何いってるのれいむ。そんなこと言ったら! 「なんでも?」 「なんでもぉ?」 「なんでも~♪」 あああほら調子乗ってきたじゃないかああああああ やめてれいむ。れいむがいなくなったらそれこそ耐えられない。それだけはだめなんだよ。それだけは。 他の子達は・・・いや、それは言ってはいけない。それも言ってはいけないんだ。 「おくちあ~んしておくち!」 「ゆっ・・!わかったよ!あ~ん!」 「よいしょ!」 あっ、一匹のれみりゃが手近にあった、いや、いた私の子供をぎゅっと掴んだ。 「ぐゆっ!?ななななに!?ゆっくりはなしてね!」 「ぽーい!!」 当然れみりゃは子供の声に耳も貸さない。そのまま思いっきりれいむの口の中に子供を放り投げた。 「うごぇ!!?むぐぅうう!!!」 口に入った途端他のれみりゃがれいむの口を強く抑えた。まさか共食いさせる気じゃあ・・・ 「うー!これかられみりゃ達がれいむをぼこぼこにするよ!お口の中の子を潰さなかったられいむのかち~」 「でも潰したられ見りゃたちの勝ち~!」 「お口から子供だしたら、そのときはすぐにあまあま~ね♪」 「!!!!!!」 れれれれいむをぼこぼこにする!? いや、やめてえ!!そんなことしてなんになるのお!! 「それじゃあすたーとぉ!!!」 「・・・!んぐぅ!んぐっ。んぎぃ!!?んごぉ!!」 「ぼっこぼこ~ぼっこぼこ~れいむのおかおをぼっこぼこ~♪」 「おいしくな~れ!おいしくな~れ!」 三匹がかりで前後左右に均等に拳をれいむに沈めていくれみりゃ達。 口の中の子供に多少の衝撃が伝わるのかうっすらと幼い悲鳴が聞こえてくる。 「ゆぎぃ!?おがーしゃんなにぃ!!?だして!暗いよ!ゆっくりできないし・・ひぃっ!?」 れみりゃの拳がどずんどずんと音を立てる。最初よりペースを上げているのだろう。 人間にとってはとるにたらないその幼い攻撃も、れいむやその子供にとってはまるで鉄球の様に響くのだろう。 「おがーさああん!!くらいよお!!うるさいよお!!だしてええええ!!」 くぐもった声は止まるのをやめない。その情けない声は助けを呼んでいるだけだ。 これだから子供はだめなんだ。私だったら隙をみてすかさずれみりゃ達に攻撃を仕掛けるだろうに。 そう、私だったらあの真正面のれみりゃが手を引いた瞬間に・・・ 「おどーざあああんん!!!おどーざあああああん!!!おどおおおおおおおざああああああああんん!!!!」 「おとーさん・・・そうだよ!おとーさんがきたらお前らなんかやっつけてもらうんだからね!」 「おとーさんは強いんだよ!れみりゃ達なんてぽんぽーんだよ!」 「お前らなんか明日の朝ご飯になっちゃえ!」 れいむが子供達に訴えかける様に睨みつけている。その顔は今まで私ですら見たことが無い程の緊張感と喪失感に満ちている。 れみりゃ達の手が止まった。 「れみりゃたちよりつよい~?」 「ぽんぽ~ん?」 「あしたのあさごは~ん?」 「「「それじゃ~あ!」」」 各々のれみりゃ達が一匹ずつ子供達を握り 「「「今日の夕御飯を~!!」」」 「いや!やめてえ!うんぐ!!?」 それを・・・あああ、れいむの口の中に放り込んでぇえ 「「「はやめにするう~!」」」 三匹でまた殴りはじめたぁ!!! 「うぐぅ!?おぶ!!うぎい!ぐんぐ!!ぐうううううううう!!!」 「いやあ!!暗い狭い!!なんで入ってきたのお!!?びゅ!?」 「いだいいい!ちゅぶれりゅううううう!!」 「おがーさんのおお!!!おがーざんの歯がささっだああああ!!!」 「れいむのりぼんがあ!!おかーさんの喉のんぎゅ!!?べへぇ!?れいむあんこがぁぁぁ!!!」 さっきの4倍の体積がれいむのお口の中に入り込んでる・・・! あれじゃあ子供達どころかれいむの餡子もでてきちゃうよおお!! 動くしか無い。作戦なんてどうでもいい。ただれいむを助けたい!ここで止まったらゆっくりがすたる。 いくぞまりさぁ!これがほんとのゆっくりだまし・・ 「あぁ!おとーさんだぁ!!!」 え 「ゆっ!?おとーさん?」 ばか 「本当だ、おとーさんだあ!!」 バカァ 「おとーさん!はやくれみりゃ達を明日のご飯にしちゃってね!!」 馬鹿馬鹿馬鹿ぁ・・・ 「うっう~♪おっとーさんを~みっけたみっけた~!」 バカアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!! 倒す前にばれっちゃったじゃないかあああ!!こんなんで倒せるわけないよおおおお!!!! これだから馬鹿な子供はだいっきらいなんだよ!!しね!さっさと死んでね!!! でも、れいむ、れいむをたすけないと!! 「・・・んぐ・・!むぃさぁぁ・・・」 れいむ・・・口を開けられないのにそれでもまりさに助けを求めてるんだね。わかったよ、今すぐ 「おとーさん!おかーさんの口かられいむ達を助けてね!」 「はやく!はやくだしてぇ!」 「でてるぅ!まりさの体からあんこがぁ!!」 「れいむのぉお!れいむのリボンがぁああ!!!」 うるさいよ!!馬鹿な子供達は少し黙っててね! そもそもお前達が騒ぐからタイミングを失ったんだよ!そのままれいむに食べられちゃってね! 「がお~た~べちゃ~うぞ~♪」 うわあああああきたあああああああ!!! 作戦作戦作戦作戦さくせんさくせんさくせんさくせんサクセンサクセンサクセンサクセンskすかうsっkすあkすえかう 「「「がお~!!!」」」 むりいぃいぃぃぃぃ!!!!いやあああああああああああああああああ!!! 「おとーさん!?」 「どーじでにげるのおおおおおお!!!」 「まっておとーさん!まってええええ!!!!」 「・・・・・・!!!!むぃ、むぃさあ!?まりさあ!!」 「あ!おくちあけたあ!えいっ♪」 「ゆぎゅう!?おがあざ・・・」 「ああああああ!!!れいむのおおおおおおお!!!」 走りながら気持ちを落ち着けていくまりさの後ろで二つの悲鳴が聞こえた。 ああ、れいむの悲鳴も聞こえる。でも大丈夫。悲鳴が聞こえるって言うのは生きてるってこと。 今はまず自分の安全の確保だ。 「またみえた!えいっ!」 「いぎゃあ!!いやああああああ!!!」 「おがーざんおくちしべてえ!!!」 「はやくはやくぅう!!!」 「ああああああああああ・・・」 「うっう~あまあm・・・・」 声が次第に遠ざかっていく。待っててねれいむ。きっと助けるからきっと。 「まてぇ~オトーサーン♪」 「朝ご飯にしてみろ~♪」 だれかたすけてぇ!!!だれかぁ!!!! 二匹のれみりゃがまりさをおってくるよぉ!! こんなに頑張ってるのにあの二匹はまるで諦めない。羽で空を飛んでるのに森の木々をすいすい避けていく。 ずるいずるい!まりさもお空を飛んでにげたいよぉ!! 今まりさの願いが叶うなら翼をください!ゆっくりの神様ぁ!! ゆっ!これは・・・!目の前の景色は、神様が願いを叶えてくれたのだろうか。そうこれなら飛べる、とても高く素早く!でも・・・ 崖じゃあ生きられないよぉ!!がみざまぁ!!! 「うっう~おいつめたぞぉ~!」 「めいどのじかんだぞぉ~!」 追いつめられたぁ!! おねがいじまず!子供達はあげるからまりさはたべないでくだざい!おねがいじまず! 「子供達はたべちゃうよ~」 「でもおとーさんもたべちゃうよ~」 やめでえ!!まりさはおいしくないからあ!ウンコみたいな味がするからあ! 「じゃあおとーさんのいじめ方はぁ」 「馬乗りでぼっこぼこ!」 いやあ!だずげでえ!!うぎゅぅ!?なにもみえないよぉ!!? 「あごの方は短くて乗れないからお目めに乗っかってぼっこぼこ!」 いやああああああああああああああ!!!!いやだあああああああああああああああああああああ!!!!! あれ?なぐられない? どうしたんだろ。怖くて目をつぶっちゃったけど今は暗闇を作った元凶も消えてみるみたい。 何か聞こえる。ちょっと目を開けてみよう。フェイントだったらイヤだよぉ・・・ 「・・・・ぎゃ・・・・ああああ・・・・・」 ゆっ!?れみりゃがれいむの上で痛がってる!? 叫んでるみたいだけどれみりゃの両足がまりさの耳をちょうど押さえつけていた何を言ってるのか分からないよ。 あ、どいた。 「いっぎゃああああああ!!!おめめがあぁ!!」れみりゃのお目めがぁ!!!!!」 叫んでいるれみりゃが手で押さえている目を見るとそこはぶくっと大きく腫れている。 一体何が怒ったのか。私は今までに出したことが無い様な大声で叫んだだけだ。それがダメージにでもなったというのだろうか。 その謎は私の足下にある物が解決してくれた。 そこにはお口に入れてたごちそうの数々、山菜、木の実、ダンゴムシ、ムカデ。 「ささったぁ!!おめめに虫さんがささったぁ!!!」 そう、れみりゃの目には私が叫び声とともに勢いよく吐き出したムカデの顎がうまい具合に刺さったのだ。 「う・・うぅ~?う・・うー・・・!」 今までに無い程騒ぎわめく仲間に戸惑いを隠せないもう一匹のれみりゃ。 チャンスだ。これこそ私が求めていた絶好の機会だった。 静かにもう一匹のれみりゃの背後に回った私は絶好の機会の中の最高の機会をじっと待った。 声を出しては終わりだ。だが心配は無い。私はあの子供達の様に愚かでは無いのだから。 そして今、二匹のれみりゃが私と崖の直線上に揃った。よしっ! 「ゆっくりしねええええええええ!!!!」 スッ !?交わされた!馬鹿な!タイミングはばっちりだったのになんで!? 「うっう~ば~か!そんな大声だしたら・・・」 「いだいいいい!!!たずけでえええ!!!」 「う~!じゃま!どいてえ!!うー!!」 眼を押さえるれみりゃがもう一匹のれみりゃにまとわりつく。未だに痛みは引かないらしい。 むしろ激しくなっているのだろうか。その動きはこの場所の地形を全く忘れた動きだった。 「いやー!はなしてえ!!押さないでえ!いやー!!」 「いだいよお!!れみりゃのおめめだれかなおしてえ!!!ああ・・・ああああああ」 「「あああああああああああ!!!!!」」 抱き合ったまま奈落へと吸い込まれていく二匹。 片方が飛ぶことを忘れたままもう一匹に抱きついている為互いに空を飛ばずに仲良く落ちていった。 しかし・・・夢ではないだろうか。このゆっくりまりさである私が捕食種二匹相手に見事に勝ち星を奪ったのだ。 そうこれは、あの、子供達についた、些細な嘘が、現実になった瞬間なのだ・・・ ぃぃぃいやったあああ!!!勝ったよれいむ!みんな!まりさはとってもつよいつよいおとーさんだよ! ゆぅー!これでれいむにも嘘つきだなんて思われないよ!子供達もよりいっそう喜んでくれるだろうね! たのしみだなあ、ゆっゆっー!! 『すごいなあーおとーさん!』 『れいむ今度ぱちゅりーにじまんしちゃお!』 『まりさもおとーさんみたいになりたいよぉ!』 『さすがまりさだね、かっこいいよ!』 ゆっふっふ。皆の喜ぶ姿が目に浮かぶよぉ。 ただいまぁれいむぅ!ゆっ? 現実に戻された。 私の家はいつもより茶色な土壌、気にこびりついた子供達、こちら側に背中を向けて直立しているれいむと一緒に私を出迎えてくれた。 直立・・・いやまて、本当にれいむは生きているのだろうか。既に顔がないということもあり得る。 私は酷く冷静なままれいむの顔をゆっくりと直視しにいった。そこには あった。いつもとは違い歪にぼこぼこになったれいむの顔が私をしっかりと見つめていた。 た、ただいま。れいむ 私はなるべくれいむの体に差し障りの無い様に静かに帰宅の言葉をつぶやいた。 いつもの様にゆっくりしていってねと言っては本能のままに体を動かしてしまうかもしれないと思ったからだ。 今のれいむの状態ではそれだけでもダメージになりかねない。いやあ、賢い私。 「どうして」 ん? 「どうして帰ってきたの」 何を言っているのか。ここは私たちの家だから帰ってきたのだ。 「どうして帰ってこれたの」 また馬鹿なことを、いつも住んでいるんだから道ぐらい当然知っている。いったいどうしたっていうんだ。 「どうしてかえってこれたのおおおおお!!!!」 えっ!? 「あんなに子供達がまりさのことを信頼してたのになんであそこで逃げたのぉ!!! 皆おとーさんおとーさんって必死にさけんでたのにぃ!!!それなのにぃ・・・ぞれなのにぃ!!!!」 ま、まってれいむ。口から餡子が飛んでるよ。 あれ?れいむ、口の中は別に怪我してない。ってことは・・・ 「はじめてきいたよ!まりさ、れみりゃを二匹も倒したことがあるんだって!?」 ゆっ!どうしてしってるの!?そうだよ、さっきそこの崖で見事に私が、 「なんでそんな嘘をこどもたちについたのお!!」 ゆっ!? 「あんな嘘を聞いてなかったらまだ希望を持たずに楽になれたろうに・・・! あんな嘘のせいで子供達は余計な期待を抱いてしまったんだよ!! れみりゃ達に敵うはずのおとーさんがなんで私たちをおいて逃げたの? おとーさんは私たちのことが嫌いなの?って叫びながられいむに聞いてたよ!!!」 いや、嘘じゃないよ!まりさは本当に 「みんな!みんなぁ!!!みんなしんじゃっだああああ!!!れいむのこどもだぢいいいいい!!! まりさが助けにきてくれればどうにかなったかもしれないのにぃ!!!まりさながおとりになってくれればぁ!!!」 な、なんてことを言うの!!ひどいよれいむ!! 「まりさなんて食べられちゃえばよかったんだぁ!!!家族を守れないまりさなんて大嫌いだ!! しねぇ!!!ゆっくりしねえええええ!!!」 なんて言ったの今。 しね?れいむがまりさにむかってしね? 違う・・・そんなことれいむは言わない。そんなひどいことれいむは言わない。 そんな汚いことをれいむはいわない。絶対に言わない,れいむは言わない。 一緒に遊んだれいむは 一緒にごはんをたべたれいむは 髪をほめてくれたれいむは 家族になったれいむは 狩りをほめてくれたれいむは 大好きだと言ってくれたれいむは そんなこと・・・そんなことおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお 「おまえはれいむじゃない!!まりさのれいむなんかじゃない!!しねえ!!さっさとしねええ!!!!!」 ぼこぼこのれいむに体当たりをかましその上でストピングを始めるまりさ。 もうれいむ自身に抵抗する力は無かった。 「おまえは偽物だ!かえせ!!本物のれいむをかえせえ!!」 「そう思ってれば!まりさは一生そうやって自分の都合のいい様に生きていけば!!?」 「だまれえ!!れいむの偽物はだまってしねえええ!!!」 「ごめんね、皆・・・こんなおとーさんを選んだれいむが馬鹿だったよ・・・」 「だまれぇ・・・!だまれえええええ!!!!」 「次に生まれるときはぱちゅりーと結婚しようね。」 「だまってよおおおおおおおおおおお!!!!!!」 れいむが潰されているにもかかわらず、まりさとれいむとの会話はまるで電話での会話の様にスムーズに進んだ。 1時間後、まりさの足下には餡子一粒の隆起さえ見当たらなかった。 それでもストピングを続けるまりさは気づかない。気づけない。 「だまれ!だまれ!!だまれえええ!!!」 誰に言ってるのか。少なくとも後ろのモノに対してではなかった。 「だまってってばあああああああ!!!れいむうううううううう!!!!」 崖の下の惨状を見たそのモノはまりさを食料とすら思っていない。 ただ必死に叫び続けるまりさをどうやって苦しめるか考えていた。 そうだ、こいつがはねるのをやめたら・・・ 「だまってえええええええええ!!!おねがいいいいいいいいいいいい!!!!」 半日後、まりさは自分の嘘を完璧に立証することになる。 まりさが勝てたのはやはり二匹までだったのだ。 完 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1888.html
※ゆっくりめーりんの設定はゆっくりいじめ系352 虐められるゆっくりの人の設定をお借りしています。 勝手にお借りして申し訳ありません。 今日もゆっくり達は、仲良くゆっくりめーりんを虐めていた。 「ゆっくりしないで! はやくご飯をとってきてよ!」 「ごはんとってこれないめーりんは本当にやくただずだよ! もうあいてにしないよ!」 「あなたってほんとうにさいていのくずね! とかい派のありすがいなか臭いあなたにずっとつきあってあげてるんだから早くごはんをもってきて!」 それぞれが好き放題に叫びながら飛び跳ね、めーりんを押し潰そうとしていた。 皮が丈夫なめーりんは決して潰れたりはしないが、四方八方から攻められ、体は激しく痛みを訴えている。 普通なら悲鳴を上げそうなところだが、ゆっくりでも珍しく喋れないめーりんはただみんなから一方的に攻められ続けた。 暴行が行われている草むらの片隅では、ゆっくりぱちゅりーが器用にページをめくりながら本を読んでいる。一度も、目を逸らすことはない。 普段通りの光景に、目を奪われる理由がなかった。 「はやく探してきてね!」 「みつかるまで戻ってこないでね!」 2匹掛かりで突き押され、めーりんは大きく吹き飛ばされる。 倒れためーりんに駆け寄るものはいない。そもそも暴行が終わればすぐに、ゆっくり達の中ではいないことになっている。 しばらく倒れたままだったが、ゆっくりと体を起こすと、めーりんはそのまま餌を探しに森へ入っていった。 目尻を下げ、終始、やせ我慢の笑みを浮かべていた。 樹の根本に多くの芋虫を見つけ、泣きそうな顔で口に咥えてゆっくり達の元へ持って行っためーりん。 もちろんめーりんに分けることなく、ゆっくり達は「むーしゃむーしゃ、しあわせー♪」と持ってきた芋虫を食べ尽くした。 ただ唯一、ありすだけは「とかい派にいもむしなんて、どうしてあなたはそんな最低なくずなの!」と罵りながら食べていた。 ご飯も食べ終わり上機嫌なゆっくり達に、めーりんは近寄っていく。ご飯を必死に探して疲れているめーりんだが、みんなと遊びたい気持ちが疲れた体を自然と動かす。 しかしゆっくり達にとって、めーりんは餌を手に入れたらもう用はなく、まるで汚いものを払うようにめーりんを追い遣った。 「きょうはどこでゆっくりする?」 「大きな木の下でみんなでゆっくりしよう!」 「むきゅー、本を読んでゆっくりする」 「わたしがみんなにとかい派のゆっくりの仕方をおしえてあげるわ!」 めーりんを放っておいて、ゆっくり達はみんな揃ってどこかへ行ってしまった。 空気が重くなる。 項垂れるように下を向いていためーりんだが、やがて顔を上げると、ゆっくり達とは反対方向へ進んでいく。 今日も、あそこへ行こう。 そう思いながら、元気に飛び跳ねていった。 大きな段差の目立つ道を、めーりんは飛び跳ね、たまに転がり落ちたりしながら進んでいく。 普通のゆっくりなら進めそうにない荒れ地も、頑丈なめーりんならどうにかなる。 そして最後の段差を飛び越えて森を抜けると、辺り一面に匂いを漂わせる花畑にたどり着いた。 何度も見ている風景だが、花好きのめーりんはいつも森を抜けた瞬間、目を輝かせて喜んでしまう。 「……」 森の方からやって来る赤い髪を見つけ、ゆっくりゆうかは思わずため息をついた。 ゆうかは、ゆっくりの中でも生まれつき植物を育てられる珍しい種族だ。 意図して歩けば土が耕せ、意図して念じれば口から種が出せる。 わざわざ狩りに行かなくても自給自足でき、その余裕がゆとりを産んだのか、育てている植物には愛でる為の植物まである変わり種だった。 そんなゆっくりゆうかだが、他のゆっくり達との仲は悪い、お互いに敵対している。 ゆうかは、見つけたらすぐに食料だと花畑や畑を荒らすゆっくりに憎悪を持ち。 ゆっくり達は、食料を独り占めしたがるゆうかに怒りを覚えていた。 せっかく育てた植物たちを一瞬で台無しにされては敵わず、ゆうかは森の奥や山奥に住んでいるものの、住処は巧妙に隠し、自身も危険を感じればすぐさま身を隠し、見つからないように注意していた。 そんなゆうかを、めーりんは数日前、餌を探している最中に偶然見つけていた。 油断したと、ゆうかは激しく後悔している。 ゆうかは近づいてくるめーりんを歓迎してやるつもりもなく、花畑の手入れを続けていく。 めーりんも慣れたもので、そんなゆうかの態度に微笑みながら、近くの樹にもたれかかった。 そこから見える4色のキャンバスが、めーりんの心をゆっくりさせてくれた。 後ろから感じる熱烈な視線に、ゆうかはげんなりしていた。 初めてここに来て以来、あの赤い髪のゆっくりはずっとここにやって来るが、そんなに暇なんだろうか? 初めに「他のゆっくりには話すな」と釘を刺しておいたが、それ以後も他のゆっくりはここには来ていないので、約束は守っているらしい。 1度も話した事がないため、ゆうかめーりんの真意が掴めないでいた。 手入れを終え、ゆうかは渋々めーりんへ近づいていく。 いつもは鬱陶しいので無視していたが、今日ぐらいは話をしてやろうか。そんな事を思いながら。 すると、めーりんは樹にもたれかかったまま眠っていた。 「……」 その幸せそうな顔に、ゆうかは怒る気も失せた。 めーりんの隣でゆうかも樹にもたれ掛かる。 「……」 そこから見える、花たちの喜んでいる姿。 心地よい風景に、寝てしまうのをどこか納得しながら、ゆうかはゆっくり過ごしていった。 ゆっくり達はゆっくりしながら話し合っていた。 内容は、最近のめーりんは虐めてもすぐに笑って気持ち悪い、なに? 死ぬの? という内容だった。 「あんなににこにこしてるなんて、ゆっくりできないよ!」 「それにえさを見つけてくるのがさいきんおくれてるよ! ゆっくりするなっておしえこまないと!」 「あんなさいていのクズがにこにこしているなんて、とかい派からみてもいじょうだわ! なにかりゆうがあるのよ!」 「むきゅ、ゆっくり原因をかいめいしましょう」 ゆっくり達のエサ探しも終わって、めーりんがいつも通りゆうかの花畑へ向かっていく。 今日のめーりんは、エサを探している時から終始ご機嫌だった。 一緒にいるゆっくり達に1度も虐められなかったのだ。 小さい頃、道ばたに1匹で泣いていためーりんを拾ってくれて以来、初めての事に、めーりんは人生でもっとも上機嫌になりながら、花畑へと向かっていった。 めーりんがまず目にしたのは、地面に横たわるゆうかの姿だった。 「むきゅー。ゆうかとつるんでいたなんてわからなかったわ」 「もうちょっとでゆっくりできなくなるところだったね!」 「あいつはほんとうにさいていのクズね! いなかものがいなかものと一緒にいるなんてさらにたちがわるいわ」 倒れているゆうかに、3匹はさらに攻撃を加えていく。 ゆちゅりーは後ろにいたうーパックに声をかけた。 「うー♪」 「むきゅ。運んでくれてありがとね。お礼にたくさん食べていっていいわよ」 「う~♪」 許可をもらって、うーパックはたくさんエサの見える花畑へ飛んでいく。 ゆうかの自慢の花畑は、今や何十匹というゆっくり達に荒らされていた。 「むーしゃむーしゃ、しあわせー♪」 「うめぇ! メッチャうめぇ!」 「うまい! もういっぽん!」 昨日まで元気に空へと伸びていた茎は、歯ごたえがいいとゆっくり達に噛み砕かれ、大きく開いていた花びらは甘いデザートと飲み込まれている。 愛でるなんて感情のないゆっくり達は、自分が先だと必死に口へ放り込んでいった。 めーりんがなぜにこにこしているのか原因を調べようとしたゆっくり達は、まずうーパックに、めーりんの後をつけるようにお願いした。 すると、ゆうかとめーりんが密会している事実が発覚する。 ゆうかがこの近くにいると知ったゆっくり達は、この近くにいた群れへその情報を売り、一緒になってゆうかの住処へと攻め込んだのだ。 元々捕食種なゆうかも抵抗したが、多勢に無勢。今や瀕死となって這いつくばっている。 ゆうかは後悔していた。 めーりんと勘違いして隠れなかった自分の迂闊さに、激しく後悔していた。 新たに感じた衝撃に、ゆうかの意識は途切れまぎれになる。 このまま殺されるのか……。 心が挫けかけたゆうかに、ふと森の出口で震えているめーりんの姿が映った。 突然こっちを見たゆうかに固まるめーりん。どうしたらいいのかわからない。 ゆうかはそんなめーりんを。 憎悪を込めた目で睨みつけた。 めーりんの心を罪悪感が蝕む。 ふと、そのまま動かないめーりんを見て、ゆうかは正気に返った。 話した事はないが、今まで何ども顔を合わせた仲だ。どういう性格かは、なんとなくわかっている。 一瞬、ここの場所をばらしたのかと思って睨み付けてしまったが、そんなことをするゆっくりじゃなかったと思い直した。 ゆうかは思う。 もしまたゆっくりできたら謝らないと……。 ……その時こそ、話せるかな。 「ゆっくりしね!」 頭上から聞こえた声と共に、ゆうかの体を激しい衝撃が襲う。 その一撃で、ゆうかの意識は遠のいていった。 「やったねまりさ! これでゆっくりできるね!」 「そうだねれいむ! いっしょにゆっくりしようね!」 「とかい派のありすもわすれちゃいやよ!」 喜び合う3匹。1匹だけ離れたゆちゅりーも笑顔で応える。 その様子が引き金となって、めーりんは飛び出していった。 「ゆ?」 飛び出してきたのがあのめーりんだと気づくと、ゆっくり達の雰囲気が一変した。 「……なに、あなた」 「……ちょうしにのってるなら、ゆっくりさせないよ」 睨まれても怖じ気づかず、めーりんはゆっくり達を見据える。 全力で、目の前のゆっくりまりさへ突撃した。 「うおっ!」 「まりさっ!?」 ゆっくり達の悲鳴が上がる。 「……っ!」 めーりんは生まれて以来、初めて浮かべた険しい形相で、ゆっくり達に立ち向かっていった。 「うーんしょ、うーんしょ……」 「むきゅー、むきゅー」 「ぱちゅりー、むりしなくてもだいじょうぶよ。ゆっくりすすんだらいいわ。とかい派はゆうがにこうどうするものよ!」 「ゆっくりがんばろうね!」 お互いに塞がった口でどうにか声を掛け合って進んでいく。 加えているのはゆっくりの角。 めーりんの厚い皮がどれぐらい伸びるかと思い、4匹は引き延ばし続けていた。 「……ッ!!」 めーりんの体が痙攣する。今までにない激痛に白目を向き始める。 「むきゅ、これぐらいがげんかいかも。けいれんしているわ」 「そうね! いなかもののさいていなクズじゃこれぐらいがせいいっぱいよね!」 「それじゃゆっくりうまくやろうね!」 体長が30センチほどだっためーりんが、凧型に2メートルほど伸びたところで、ゆっくり達は口を離し、戻らないように体で咥えていた先を踏んでおいた。 しばらくすれば、めーりんは2メートルの凧で固定され、二度と歩き回る事はできなくなるだろう。 めーりんを下敷きにして4匹がゆっくりしていると、うーパックがゆちゅりーのところへやって来た。 「うー♪」 「そう、こちらこそおつかれさま」 律儀に、別れの挨拶をしに来たらしい。 そのまま飛び去っていこうとしたうーパックに、ふと、ゆちゅりーは声をかけた。 「むきゅー、ごめんなさい。さいごのしごとをたのめるかしら」 「うー?」 うーパックに仕事の内容を伝える。 「うー♪」 了解したと返事をすると、うーパックはその場から飛び去り、しばらくしてまた戻ってきた。 「こっちこっち」 「うー♪」 ゆちゅりーに指示され、飛ぶ位置を変えていく。 指示通りの位置へたどり着いた事を確認すると、うーパックは中のものを落として飛び去っていった。 突然、響いた衝撃に意識を失いかけていためーりんの目が動く。 落ちてきたのは、ゆうかの死体だった。 「……っ!?」 「なかよしだったでしょ? あげるわ」 ゆちゅりーの声もめーりんの耳には入っていない。 歯を鳴らし、ただ置かれているゆうかの体に震えている。 めーりんの広がった皮へ、俯せになるようにゆうかは置かれている。 しかしその体が突然起き上がり、あの目で睨まれる姿がめーりんの脳裏に映っていた。 怖かった。 ゆうかの、憎悪の込められた目が怖かった。 恐怖の限界を超えためーりんは、完全に白目を向いて気を失う。 しかし、ゆうかのように死ぬことはない。 4匹にめーりんを連れて帰るつもりなどなかった、このままここへ放置していくつもりだ。 目が覚めれば動けないまま、めーりんの目の前にはゆうかの頭が待っているのだ。 めーりんはここで餓死するまで、恐怖に震える事だろう。 4匹の楽しげな声が辺りに響く。 まるで、ゆっくり出来ないめーりんを祝福しているようだった。 End ワンパターンという名のお約束展開。捻りのなさに俺が泣いた。 たぶん虐めた奴への報復虐待ネタは誰かが書くと思うので、あえてめーりん虐めで。 あの皮の破れないめーりんを限界まで引き延ばし、その上に親愛なゆっくりの死体を置いてやりたかった。 めーりんは、涙目が、可愛いな。 ゆっくりゆうかの設定は、151氏の不安定性突然変異?の設定を参考にさせてもらいました。 ありがとうございます。 なんだかあいつら生きててすっきり出来ないぞという人は、 別の人達が4匹に制裁する続きを書いてくれたのでそちらをどうぞ。 ゆっくりいじめ系368 ゆっくりメーリン 幽香×ゆっくり系7 ゆっくり後悔し続けてね! 幽香×ゆっくり系8 ゆっくりメーリン2 by 762 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2296.html
まりさは焦っていた。早く、早く逃げないと。アイツが戻って来る前に。今がチャンスなのだ。 すぐ目の前に森が見える。あそこまで逃げれば、森に入りさえすれば逃げ切れる筈だ。 なのに一向に前に進めない。きっとアイツが魔法をかけたんだ。いくら跳ねても後ろに弾き飛ばされる。 後ろで物音がした。まりさが恐る恐る振り返ると・・・いた。アイツが。不気味な笑みを浮かべて。 動けない。まるで蛇に睨まれた蛙の様に。来ないで!こっちに来ないで! その長い腕で掴まれたまりさ。天高く持ち上げられると、正面にはバケモノの口が。 あああ!食べられる!食べられちゃう!助けて!誰か、誰か助けて!!! 身をよじり何とか逃げ出そうとするまりさ。しかし、必死の抵抗も虚しく、口はもう目の前。 「いやああああああああああああああああああああああああ!!!!!」 (遭遇) バケモノに捕まる前、まりさは森の奥深くに棲んでいた。大樹が茂る鬱蒼とした森の中、 ぽっかりと開いた小さな空間。その日当たりの良い原っぱがまりさ達のゆっくりぷれいすだった。 そこはとても不思議な場所で、ゆっくりを捕食する動物達も森を出てゆっくりぷれいすに入ろうとはしなかった。 お陰でゆっくり達は毎日、平和なゆっくりらいふを満喫していた。アイツらが現れるまでは・・・ 最初に気が付いたのはまりさだった。まりさは皆から離れ一匹で散歩をしていた。 何かの視線を感じ、森の方へと目をやるまりさ。いる、森の中に、何かいる。 それはまりさが今まで見たどんな動物よりも大きく、二本の足で直立し、こちらの様子を窺っていた。 まりさは不安に思い皆の元へ戻った。群れに戻り、今見たバケモノの事を皆に話す。 群れの大人達が集まり、まりさが見たのは一体なんであろうかと話し合っているその時、 そのバケモノ達は森を出て、のしりのしりとまりさ達の方へと近寄って来た。 「ゆっ!!!」 長のれいむが警戒の声を発する。群れの皆が素早く集まり、子供達を中にして円陣を組む。 初めて見るバケモノ。敵か味方か分からない。しかし、とてもゆっくりできる相手には見えない。 大人達は一斉に顔をぷくっと膨らますと、侵入者を威嚇し始めた。 「でてってね!でてってね!」 「こっちこないでね!こっちこないでね!」 「ゆっくりあっちにいってね!ゆっくりあっちにいってね!」 それでも怯む事無く歩み寄って来るバケモノ達。ついに一匹のれいむが奴等に捕まえられてしまった。 「ゆっ!ゆううううううっ!!!はなしてっ!はなしてねっ!!!」 まりさ達の頭上でバケモノにいじくり回されるれいむ。 ひっくり返され、体のあちこちを触られ、無理やり口を開けられ、口の中を覗かれる。 「やめてね!やめてね!」 「いやがってるよ!やめてあげてね!」 まりさ達の声はバケモノには届かない。れいむを離したバケモノの手はまた次のゆっくりへ。 次々と捕らえられるゆっくり達。しかし、逃げる訳にはいかない。 子供達がいるのだ。逃げ足の遅い子供達を置いて逃げる訳にはいかない。 バケモノに為すがままにされるゆっくり達。バケモノ達は大人達を一通り捕まえて弄ぶと、 飽きたのか森の中へと戻っていった。 「ゆうううううう。きもちわるいよ。」 「れいむたち、いったいなにをされたの。」 (異変) バケモノ達がやって来てから数日後。群れに異変が起きた。最初の犠牲者はありす。 「ねえ、ありす。ほっぺにごみがついてるよ。とってあげるね。」 「ありがとう、まりさ。」 「ゆぅ?とれないよ。なんでだろう?」 ありすの頬に黒い小さなシミができていた。最初は気にも留めていなかったが、シミは日に日に大きくなった。 そして顔の半分が真っ黒なシミに覆われた頃には、ありすの様子もおかしくなり始めた。 まず言葉が上手に話せなくなった。そして高熱を出し、体はぷるぷる震え、満足に動く事もできなくなった。 ありすの様子がおかしい事に気付いたゆっくり達は、懸命にありすを看病する。 怪我をした時の様に、悪い所を皆でぺーろぺーろする。しかし、一向に良くなる気配が無い。そしてついにある日・・・ 「ククク!コココ!キキキ!」 「ありす、しっかりしてね!」 「どうしたの!なにがあったの!」 「ありすのようすがおかしいの!」 「うひゃひょひょひぇひゃひゅひゅひぇひょ!」 「どうしたのありす!しっかりしてね!しっかりしてね!」 「ゆっくりしてね!ゆっくりしてね!」 「くぁwせdrftgyふじこlp!!!!!!」 訳の解らぬ奇声を発し、餡子を大量に吐き出し、ありすは絶命してしまった。 ゆっくりの群れに恐怖が広がる。ありすと同じ様に顔にシミのできたものが多数いたからだ。 こんな事は初めてだ。普通ゆっくりが死ぬ時は、皆に見守られながらゆっくりと眠る様に逝くのだ。 皆に送られて安らかに逝く事で、あの世でも永遠にゆっくりできる筈なのに。 これじゃああの世でゆっくりできない。どうしてこんな事に・・・ ありすはとてもゆっくりとした良いゆっくりだった。ありすは何にも悪い事をしていないのに。 だったらなぜ?そうだ、アイツらだ。アイツらが悪いんだ。きっとありすにゆっくりできなくなる呪いを掛けたんだ。 (被虐) 日に日に数が減っていくゆっくりの群れ。昨日はれいむが、今日はまりさが、明日は・・・ そんなある日、例のアイツらがまたやって来た。流石のゆっくりも今回はちゃんと対策を講じていた。 まず大人達がバケモノの前に集まり、奴等の注意を引いている間に子供達を逃がすのだ。 計画通りに事は運んでいる。奴等は子供達に気付いていない。しかし、どうも様子がおかしい。 一向に襲ってくる様子が無い。集まって来たまりさ達の姿に驚き、仲間同士で顔を見合わせている。 どういう事だろう。呪いを掛けた筈なのに、まりさ達がまだ生きているので驚いているのだろうか。 「ゆーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」 遠くから声がする。子供達を先導していたぱちゅりーの声。子供達の退避が完了した合図だ。 そうとなればもう長居は無用。大人達は散り散りに逃げようとするが、時既に遅し。 バケモノ達の方が一瞬早く動き始めていた。奴等の長い腕が次々とゆっくり達を捕まえていく。 「いやああああああああ!!!」 「はなしてええええええ!!!」 「だれかたすけてえええ!!!」 必死に逃げ回ったが、結局まりさも捕まってしまった。 バケモノ達はゆっくりを両脇に抱え、ゆっくりぷれいすを後にする。 まりさは泣き叫びながら逃れようともがくが、まりさを挟んだ腕はビクともしない。 そのうち、まりさは泣き疲れて眠ってしまった。 目を覚ました時、まりさは今まで見た事も無い不思議な場所にいた。 周りは一面真っ白。木も草も生えていない。おそらも見えない。その代り頭上に見えるのは丸くて光る不気味な物。 なんだか怖い。酷く落ち着かない。ゆっくりできない。早く逃げないと。 ガチャ、という音に驚き後ろを振り返るまりさ。そこにいたのはまりさを捕まえたアイツ。 手に何やら不思議な物を持ってまりさに近付いてくる。何を考えているのか解らない不気味な笑みが怖い。 バケモノは逃げ回るまりさを捕まえると、無理やり口を開け手に持った物をまりさに咥えさせる。 「ゆげっ!!!にがいっ!!!」 口の中に恐ろしく苦い液体が入って来る。これはきっと毒だ。まりさは慌てて吐き出そうとした。 しかし、バケモノはまりさの口を押さえ、無理やり飲み込ませようとする。 「む、むぐ!むぐぐぐぐぐぐぐ!!!!!」 ゴクン! 飲んでしまった!もう駄目だ。体内の餡子と完全に混ざってしまった。 一旦飲み込んでしまったら、もう吐き出す事はできない。 いやだ!死にたくない!死にたくない!死にたくない! バケモノに怪しげな物を飲まされたまりさだったが、それでもまだ生きていた。毒ではなかったのだろうか。 しかし、生きている事を神に感謝できる様な状況ではなかった。 未だ囚われの身であったし、その後まりさの受けた苦痛は「死んだ方がマシ」と思える程のものだったからだ。 まず最初にまりさは命の次に大切な「すてきなおぼうし」を盗られた。 そして、あろう事かバケモノはまりさの自慢の金髪に手を触れたのだ。 まりさのみつあみがバケモノの手によって解かれる。 まりさの髪が、皆が「すてきなかみがただね!」と褒めてくれた自慢の髪が、バケモノによって汚されていく。 「やめてね!なにするの!まりさのかみにさわらないでね!」 まりさの言う事には一切耳を貸さず、黙々と作業を続けるバケモノ。 後ろに髪を纏めると髪に何かを付けた。きっとまりさを辱める為に何か変な物を付けたのだろう。 周りに群れの仲間達がいないので誰にも見られる心配は無いが、 そんな事は何の慰めにもならなかった。悔しさのあまりまりさは大粒の涙をぽろぽろとこぼす。 次にバケモノはまりさを持ち上げると、自分の顔の横にまりさを持ってきた。 何をするつもりなのだろう?最早抵抗する気も起きない。まりさは諦めて身を委ねる。 バケモノは無抵抗のまりさの頬に自分の頬を重ねる。まさか・・・まさか・・・ 「いやっ!いやっ!!いやああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」 「やめて!やめて!おねがい!はなしてええええええええええええええええええ!!!!!!」 バケモノが何をする気なのかを理解したまりさ。死に物狂いで抵抗する。 犯される!いやだ!こんな奴とすっきりなんかしたくない! ざらざらとした物がまりさの肌に触れ、上下に動かされる度にジョリジョリと気味の悪い音を立てる。 気持ち悪い。大好きなありすのすべすべの肌とは比べ物にならない不快感。当然すっきりなどできる筈も無い。 泣き、叫び、必死に懇願するが、凌辱は止まらない。結局バケモノが満足するまで続けられた。 バケモノによる凌辱が終わった後、帽子を返されどこか別の場所に運ばれたが良く覚えていない。 もう涙も出ない。まりさは放心状態で「あ、あ、あ」と低く呟き続けていた。 目的地に到着したのだろうか。柔らかい物の上に座らせられ、上に何かを被せられた。 今度は何?何をするつもり?もう嫌だ。疲れた。何も考えられない。考えたくない。 まりさは疲れ切っていた。休みたい。眠りたい。ゆっくりしたい。 その時、カチッと音がすると一瞬で辺りが暗くなった。 どんな魔法を使ったのかは知らないが夜になった様だ。夜になったのだからバケモノも眠るだろう。 ああ、やっと終わった。これでゆっくりできる・・・ まりさは安堵の息をつき、静かに目を閉じ眠ろうとしたが・・・ 「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ・・・」 「ゆっ!?」 「ギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリ・・・」 「ゆゆっ!?」 すぐ横でバケモノが唸り声を上げている。恐ろしい唸り声。怖くてちっともゆっくりできない。 しばらくすると音は止むが、まりさがウトウトして眠りに落ちようとするとまた唸りだす。 まりさはその度にビクッとして目が覚める。眠る事も許されない長い長い夜が続く・・・ (逃亡) どの位時間が経ったのだろうだろうか。一睡もしていないせいで意識が朦朧とする。それにお腹も空いた。 何か食べたい。ああ、やっぱりバケモノもお腹が空くんだろうか。そしてまりさは食べられてしまうんだろうか。 そうだ。きっとそうに違いない。後で食べるためにまりさは生かされているんだ。 そういえば暫く前からバケモノの唸り声を聞いていない。どうして?どこかへ行ったのか? 体の上に被せられた物からモゾモゾと這い出す。そして、まりさの目に飛び込んできたのは・・・ 「ゆ!もりだ!もりがみえる!」 森の中に入る事さえできればきっと逃げ切れる。森の草木はまりさの姿を隠してくれる。 バケモノは?バケモノはどこにいる?辺りを見回すがアイツはいない。どこかへ行ってしまった様だ。 何という好機。逃げるなら今しか無い。まりさは喜び勇んで森へ向け跳ねて行く。しかし・・・ 「ゆ゛っ!!!」 何かにぶつかった。後ろに弾き飛ばされるまりさ。え?なんで?どうして? 目の前には何も無い。気を取り直してもう一度跳ねるが、結果は同じ。 見えない何かにぶつかって、それ以上前へと進めない。 まさか、アイツが魔法を掛けたのか?まりさが逃げられない様に。 まりさは焦りだした。早く逃げないといけないのに。今が、今がチャンスなのに。 何度も何度も挑戦するが、その度まりさは弾かれる。一歩も前に進めずに、顔が真っ赤に腫れただけ。 ガチャ!聞き覚えのある音。まりさは恐る恐る振り返る。するとそこにいたのはやっぱりアイツ。 逃げられないまりさを嘲笑う様な不気味な笑顔。恐怖に足が竦み動けない。 バケモノの長い腕がまりさを掴む。持ち上げられたまりさにバケモノの口が近付いてくる。 あああ!食べられる!食べられちゃう!助けて!誰か、誰か助けて!!! 身をよじり何とか逃げ出そうとするまりさ。しかし、必死の抵抗も虚しく、口はもう目の前。 「いやああああああああああああああああああああああああ!!!!!」 end 作者名 ツェ 今まで書いたもの 「ゆっくりTVショッピング」 「消えたゆっくり」 「飛蝗」 「街」 「童謡」 「ある研究者の日記」 「短編集」 「嘘」 「こんな台詞を聞くと・・・」 「七匹のゆっくり」 「はじめてのひとりぐらし」 「狂気」 「ヤブ」 「ゆ狩りー1」 「ゆ狩りー2」 「母をたずねて三里」 「水夫と学者とゆっくりと」 「泣きゆっくり」 「ふゅーじょんしましょっ♪」 「ゆっくり理髪店」 「ずっと・・・(前)」 「ずっと・・・(後)」 「シャッターチャンス」 「座敷ゆっくり」 「○ぶ」 「夢」 「悪食の姫」 「中学生のゆっくりいじめ(前編)」 「中学生のゆっくりいじめ(後編)」 「ゆっくりできないあいつ」 「とかいはルール」 「まりさまりさまりさ・・・」 「餡子の記憶」 (蛇足) ぶっちゅーーーーーーーー 「おいーっす。おはよ・・・って、おま、何やってんの!」 「え?何ってちょっとキスを・・・」 「んな事見りゃわかるよ!何でゆっくり相手にキスしてんのかって聞いてんだよ!」 「何でって・・・かわいいじゃん、ゆっくり。かわいい子にはキスしたくならない?」 「ならねーよ。はぁ・・・まあいいや。ところで、そいつか?一昨日森から連れて来たゆっくりってのは。」 「そう。一月くらい前だったかな?森の中で新しいコロニーを見つけたんだ。 定期的に観察しようって事になってさ、それで一昨日見に行った訳よ。もう、ビックリしたよ。 群れに感染症が発生してたんだ。そんで慌てて連れて来てさ、治療したって訳。 最初に見つけて健康チェックした時は特に問題無かったんだけどなあ。」 「?治療が終わったなら何でここにいるの?放してやればいいじゃん。 つーか、まず下に置いてやれ。嫌がってんだろ。かわいそうに・・・」 「え?嫌がってる?」 「ほら見ろよ。離した途端に逃げ出した。あーあー、怯えちゃって。 窓ガラスにも気付かずに逃げようとしてるじゃねえか。お前一体何したんだよ。」 「何って、髪型変えてあげたりとか・・・」 「あ!ホントだ。今気付いた。何でポニーテールになってんだよ。」 「いや、だって俺、ポニテ萌えだし・・・」 「はぁ・・・」 「それから頬ずりしたり。ああ、あと夜は同じベッドで一緒に寝たよ。」 「ひげ面の男に頬ずりされたあげく、一晩中イビキと歯軋りを聞かされた訳か。 そりゃ、怯えもするわ。ゆっくりに同情するよ・・・」 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1788.html
ユクミン 後 57KB パロディ 自業自得 差別・格差 れいぱー 希少種 自然界 独自設定 虐待が見たい方は回れ右 すごく長いです れいむしね ・この作品は「ふたば系ゆっくりいじめ 790 ユクミン 前」の続きです。既読推奨です。 ・幸せなまま終わるゆっくりが沢山います。注意してください。 ・虐待や虐めはほとんどないです。気をつけてください。 ・一定の種類のゆっくりが著しく虐められています。れいむしね。 ・あと最後に、もう○クミン関係ないです。ごめんなさい。 あとまとめきれなかったせいですごく長いです。ごめんなさい。とにかくごめんなさい。 では、ゆっくりしていってもらえればいいなぁ! ~脱出計画十四日目~ 思えば随分と時が経ったように感じる。 れいむが大量に焼け死んだり、まりさが集団で滝壺に落ちたりしていた頃が随分昔に思えた。 まあ実際は十日かそこらほどしか経っていないのだが。 現在回収が終わった部品の数は20個。大体三分の二が回収されたことになる。 だか油断はできない。回収が進むにつれ、どんどん過酷で難解な場所に行かなければならない。 それはこれからも変わらず、おそらくこの先もどんどん難しくなっていくだろう。 が、今の私はそれほど心配していない。 あの頃と違って、私には心強い沢山の仲間がいるのだから。 さあ、今日来たのは拠点から見てちょうど星の裏側にある森の中。 反応はあれど、当の部品はまだまだ先。現在では陰も形も見えない。 そして目の前では巨大な岩が道を塞いでいた。 岩は優に私の身長の三倍はある。防護スーツで身が重い私では到底乗り越えられそうにない。 そして、だからと言ってどう足掻いても到底取り除くこともできない。・・・普通ならば。 「「「「「じゃおぉぉ~ん!!!」」」」」 だが、彼らがいれば心配する事もないだろう。 「じゃおっじゃおっ!」 「じゃおぉん。じゃおぉ~ん!」 「じゃおじゃお?じゃぉぉん!!」 緑の帽子に星型の飾りをつけたこのゆっくりは、めーりんというらしい。 らしい、というのも、そもそもこのめーりん。見てのとおり言葉が話せない。 他のゆっくりから名前は教えてもらったのだが、どうやら言葉が通じないというわけではなさそうだ。 むしろとても人懐っこく気がいい。助けを請うた所、快く私に協力してくれた。 そして、何よりの特徴として・・・やってくれ、めーりん! 「「「「「じゃ・・じゃ・・・じゃ・・・じゃおぉぉぉぉぉん!!!」」」」」 私の掛け声と共に一斉に十匹程度のめーりんが岩に近寄り、力を入れる。 するとなんという事か。あんなにも巨大な岩が持ち上がったではないか! 岩の下に潜り込んだめーりんたちは、力をあわせてゆっくりと岩を運び込んでいく。 そして 「「「「「じゃお・・じゃお・・・じゃおん!!!」」」」」 ドズンという重い音と共に、しばらく戻った所にある脇の溝に岩を転がした。 「「「「「じゃっ、じゃっ、じゃおぉぉぉん!!!」」」」」 一斉に勝ち鬨を上げるかのように、誇らしげに叫ぶめーりんたち。 そう、実はめーりんたち。ゆっくりの見た目からは想像できないほどの怪力の持ち主だったのだ。 最初に見たときは驚いたものだ。 なにせれいむなら数十匹は必要になるほど巨大な部品をわずか数匹であっさりと運んでしまうのだから。 その上ほとんど疲れることを知らず、不満げな素振りすら見せずにニコニコついてくる。 その代わり、臆病でのんびり屋なのが玉に傷だが・・・それを差し引いても余裕でお釣りが返ってくるだろう。 お疲れ様、と労いの言葉をかけると嬉しそうに笑うめーりんたち。可愛いものだ。 そして他のゆっくりたちとわいわい騒ぎながら更に先へと進む。 しばらくは一本道が続くようだ。早く先を―――「まっておにいさん!」っと。 先ほどから反応が無かったので放っておいたが、私の頭の上でまったりしていたゆっくりが突如声を上げた。 「そこまでよ、おにいさん!!ここをすすんじゃいけないわ!!」 このナイトキャップをかぶったゆっくりの名は、ぱちゅりー。 めーりんとの意思疎通に困っていたときに現れ色々と教えてくれた恩人(?)だ。 他にもこの星について、わからない事を沢山教えてくれた。 しかも私が困っていることを知るとそのまま手助けを申し出て、一緒に来てくれたのだ。 どうやら知識量と反比例するように身体は弱いらしく、普段では長時間跳ねることもままならない。 だから移動時は私の防護メットの上で身体を休めているのだ。 まあ私としても、別段邪魔にはならないので全くもってかまわないのだが。 しかし進んではいけないとはどういうことか。ここを通らねば・・・ 「あそこにおおきなおはなさんがあるでしょ?あれはゆっくりをたべちゃうおはなさんなのよ。 このままこのみちをとおると、たくさんのゆっくりがたべられちゃうわ!」 ぱちゅりーの視線を追ってみると、確かに毒々しい色の花・・・に見える食虫植物のようなものがあった。 危ない危ない・・・このまま行くと大損害を被るところだった。 しかし見た所、道はここしかないようだしどうしたものか。このままボーっとしてるわけにもいくまい。 「だいじょうぶよ。そこにくささんがたくさんはえてるところがあるでしょ? そこにみちがかくされてるんだとおもうわ。たぶんまちがいないとおもうの」 確かによく見ると、一部だけ不自然なほどに草が生い茂って密集している。 試しに掻き分けてみると・・・本当に道があった!すごいぞぱちゅりー!! 「むきゅん!このくささんはあのゆっくりできないおはなさんのいちぶなのよ! なにもしらないゆっくりをたべるために、あのおはなさんがよくつかうわななの。 ゆっくりにはわからないようにしてあるけど、おべんきょうしたぱちぇにはつうじないわ!!」 ぱちゅりーのおかげで一切の被害を出さず先に進めた私達は、とうとうシャーク号の部品を見つけた。 しかし、部品はかなり高めの絶壁のてっぺんに鎮座している。崖の高さは私の身長の十倍程度か。 ところどころに足場のような部分があるが私では到底届きそうもない。が、しかし・・・ 「ちぇんのでばんなんだね!わかるよー」 まあそれに関しても彼らがいれば心配ない。 「あれくらいのがけさんならちぇんたちがちからをあわせればらくしょうだよ。まかせてねー!」 猫のような耳と尻尾を生やしたこのゆっくりの名は、ちぇん。 見た目どおり、とても身軽ですばやいゆっくりだ。 彼らならば軽いので私もより遠くに投げ飛ばせるし、身軽なので着地も問題ない。 今回のような高い崖でも、中継地点さえあれば数を頼りに仲間を踏み台にして登ることができるのだ。 その代わりに頑丈さに欠けるのだが、そこはご愛嬌というものだろう。 「それじゃしばらくじかんがかかるけど、こればっかりはしかたないんだよ。わかってねー」 流石にこれだけの作業を簡単には終わらせられない。 しばらく必死に頑張るちぇん達に指示を出しながら見守っていると・・・ 「んほぉぉぉ!!!たくさんゆっくりがいるわぁぁぁ!!」 「よりどりみどりよぉぉぉ!!ありすいますぐすっきりーっしちゃいそう!!」 「「「「「れ、れ、れいぱーだぁぁぁぁ!!!」」」」」 金髪のカチューシャをつけたゆっくりが大量に茂みから出て来た。 体中を汁まみれにして、アゴのあたりにある突起を更に尖らせている。 ゆっくりを無差別に襲う、ゆっくりありすの亜種。“れいぱー”だ。 奴らが何をどうやって襲うのかは名前で大体察して欲しい。 「ゆわぁぁ!!たすけてぇぇぇ!!」 「すっきりーっされたくないよぉぉぉ!!」 一部のゆっくりが我を忘れて騒ぎ立て、逃げようとする。 が、その他のゆっくりは落ち着いたものだ。悲鳴すら上げない。 「れいぱーなんかに、みんなはぺにぺにいっぽんふれさせないみょん!!」 なぜならば、心強い用心棒がいるからだ。 「いまはちぇんたちもがんばってるみょん!ここはししゅするみょん!!」 「かずではこっちがかってるみょん!ふたりひとくみでかかるみょん!! だれかがれいぽぅされそうになったら、そのすきをついておそいかかってやるんだみょん!!」 れいぱーの前に勇ましく躍り出た、黒くて細いリボンをつけたゆっくり。 みょんという名の彼らは運搬などもそつなくこなすが、真の実力は戦いでこそ発揮される。 瞬時にその場に適した作戦を立て、統率された動きで鋭くとがった木の棒を武器に戦う、 義侠心に厚くて仲間を決して見捨てない漢気溢れるゆっくりだ。 「それじゃ、ひとりもとおしちゃいけないみょん!・・・とつげきーっだみょん!」 「「「「「ちーんぽ!!!」」」」」 ・・・問題があるとすれば、たまに出てくる卑猥な単語くらいだろうか。 まあ本人達は意識して言っているわけではないので、もう触れないことにしているが。 「うわぁぁ゛ぁ゛!やべでぇぇぇ!!」 「ずっぎりじないでぇぇ!や゛だああぁぁぁ゛ぁ゛!!!」 「んほぉぉぉ!!れいむがいれぐいじょうたいだわぁぁ!!すっきりー!!!」 「あんまりきもちよくないけどとかいはなありすならどんとこいよぉ!!すっきりー!!」 「がばがばないなかもののまむまむでもがまんしてあげるわぁ!すっきりー!!」 「「「「「やべでぇぇぇぇ!!!」」」」」 「くらうんだみょん!!」 「しゅーれんをつんでるみょんたちがれいぱーなんかにまけるとおもうなみょん!!」 「すっき、うぎっ!?いだいぃぃぃ゛ぃ゛!!あでぃずのべにべにがぁぁぁ!!」 「あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛!!あでぃずのどがいばなべにべにぢぎれぢゃっだぁぁぁ!!」 見る見るうちにレイパーの叫び声が多くなっていく。 仲間を庇いつつ的確に、獲物でれいぱーにとっての急所をズタズタにしているのだ。 以前、止めは刺さないのかと聞いてみたところ 「ゆっくりごろしはいけないんだみょん。 ちゃんとやりなおすちゃんすをあたえてやるんだみょん」 と言うことで被害が出ないように、罰として股間部だけを狙うらしい。ある意味一番惨い。 さて、こうしてはいられない。みょん達を手助けに行こう。 ゆっくり退治ならば私でも十分手伝える。ちぇんたちへの指示は頼んだぞ、ぱちゅりー。 「まかせて、おにいさん。いってらっしゃい!」 まあ別に気合を入れなくても、やる事といえば股間のアレを引き千切るだけなのだが・・・ ・ ・ ・ 「う・・うぅ゛・・・あでぃずのりっばなべにべに・・・」 「ぼうずっぎりでぎないわぁ・・・」 「べにべにがない゛いながものになっぢゃっだぁ・・・」 しばらくして、一匹残らず股間に穴が開いてしまったれいぱー達が泣きながら地面を転がっていた。 もう何度も見慣れた光景だ。以前は本当に大丈夫なのかと思ったが、みょんが言うには 「これくらいじゃしなないからそのうちたちなおるみょん。 ぺにぺにがなくなればふつうのゆっくりありすにもどるはずだみょん」との事。 まあそういうことなら、と割り切ることにした。正直私にはどうしようもないことではあるし。 そんなこんなでれいぱー退治が終わる頃には、ちぇんたちの作業も終わっていたようだ。 「おにいさん!ちゃんととってこれたよ!」 「じかんはかかったけど、これくらいちぇんたちならかんたんなんだよー」 シャーク号までの運搬はめーりんたちに任せて、一息ついたちぇんたちが 私の足元まで一斉に駆け寄ってきた。まだまだ元気なようで何よりだ。 「まだまだだいじょうぶなんだよ!わかってるよねー」 「ぱちゅりーのしじもとってもうごきやすくてよかったよ!またうでをあげたねー?」 「むきゅ、わかるの?いちおうおにいさんをみておべんきょうしてるんだけど」 一匹ずつ私に頭を撫でられながら、私の頭の上に戻ってきたぱちゅりーと楽しげに話していた。 おおむねいつも通りの光景だ。ちぇんたちは気持ち良さそうに喉(?)をゴロゴロ鳴らしている。 先にシャーク号へ部品を運んでいためーりんたちがもう帰ってきた。相変わらず仕事が速い。 こちらも一息ついたし今日はこれくらいにして、さあ帰ろうかとしたその時 「きょうもこれでおわりだね!たいへんだったよ!!」 「みんなもなかなかよくがんばったとおもうよ!まあれいむたちにはまけるけどね!!」 少し離れたところで、大声で話すゆっくりがいた。 私と共にいるゆっくりの中でも一番付き合いが長い、れいむたちだ。 少し離れた所にいるのは、れいぱー騒ぎの際に逃げたためだ。 先ほど言った“一部のゆっくり”は全てれいむ種のことである。 しかもその場にいておけばみょん達がきっちり守ってくれたというのに、 下手に逃げるから何匹かが犠牲になってしまっていた。その証拠に逃げなかった他のゆっくりは誰一人死んでいない。 「みんなごくろうだったね!!でももっとはやくすませようね!!」 「れいむたちがてつだえないからっていうのはわかるけどもうすこしがんばらないとね!!」 「かわいいれいむたちにはにんげんさんをゆっくりさせるしごとがあるからね!!」 「れいぱーのせいでれいむたちのなかまがすっきりーっされてしんじゃったよ!! みょんたちもがんばってくれないとこまるよ!!おわびとしてれいむたちをもっとゆっくりさせてね!!」 「「「「「ゆっゆっゆっゆっ!!!」」」」」 当の彼らはと言うと私達の冷たい視線も全く意に介さずに、好き放題言って体を揺らしていた。 しかし実際の所、彼らが言っていることはデタラメ以外の何物でもない。 ここに来て、私のれいむへの評価は『あまり役に立たない』から『全く役に立たない。むしろ邪魔』になっていた。 それならば何故ここにいるのかと言うと、 他のゆっくりを引っこ抜く際に、一緒に付いて来るから。 私とて、何もれいむが憎いわけではない。 死なせたくないなら、最初から引き抜かなければいい話だ。 その証拠にまりさ種の帽子が埋まっていた場合は無視しているので、まりさ種は今この場に一匹も居ない。 が、れいむは少し事情が違った。 集団を一気に引き抜く際に他のゆっくりの中に上手く紛れ込んで、必ず数匹ほどついてくるのだ。 いくら他の、いない集団を探せども探せども必ず紛れ込んでいる。これではまるでペナルティだ。 しかも 「おそいよくずめーりん!!ぴかぴかさんはこぶだけなのにどれだけかかってるの!!」 「まったくやくにたたないねくずめーりんは!!のろま!ぐず!!のんびりしてるとかばかなの?しぬの?」 「どうせあやまることもできないんだもんね!おぉおろかおろか!!」 「「「「「じゃ、じゃおぉぉん・・・・・・」」」」」 めーりんを目の敵にして、やたらといじめる。 どうやらめーりんが言葉を話せないことを理由に見下しているらしい。 いくら私や他のゆっくりが叱っても 「めーりんがぐずだからわるいんだよ!!」 「どぼじであんなくずかばうの!?かわいいれいむがかわいそうじゃないの!?」 などと言ってまったく反省しない有様だ。 言うまでもなく他のゆっくりはめーりんを差別などしない。 しかもめーりんは役立たずなどではない。むしろれいむの十倍は(腕力的に)役に立つ。 だがめーりんは気が弱いので、やたらとヘコんでその後の作業効率がガタ落ちしてしまう。 おまけに大所帯になってきた最近では号令の意味もよく理解せずに、勝手な行動を繰り返すのも珍しいことではない。 一方的な差別意識で協調の和を乱す。 雑音を振りまいて人の神経を逆なでする。 作業を一切手伝わずに自分の好き勝手に振舞う。 行進を乱すことで作業効率、活動時間を削る。 しかし絶対に別れようとせず、もし少しでも邪険に扱おうとすれば非難してくる。 ここまでくれば流石に、害悪と判断されるのも致し方ない事だろうと思ってしまう。 だがそれでも見捨てないのは、ひとえに最初の恩があるからだ。 この星に来て不安だった私を支えてくれたれいむ達。 今だって問題はあるが、あくまでもれいむ達自身には悪意はないのだ。・・・多分。 そして望む望まざるに関わらず、命を預かってしまった以上私には守る義務と責任がある。 なのでいとも簡単に、邪魔だからさようなら。などと言えるほど薄情にはなれないのだ。 ・・・とは言うが、最近は流石に度が過ぎている。 他のゆっくりからも苦情がちらほら出てきてるのだ。 流石にあからさまには表に出さないが、なんとなく全体の雰囲気から伝わってくる物がある。 このままではいけない。れいむに態度を正す気がないのなら、こちらも対策を考えなければ・・・ れいむ達をめーりん達から少し離しながら、私は深刻な問題として、考え込んでいた。 現在のゆっくり ちぇん、30匹。ぱちゅりー、1匹。みょん、30匹。めーりん、15匹。そして、れいむが20匹。 ~脱出計画20日目~ 「きょうはこれくらいだね。ちょっとつかれたよ~」 「みょんたちはもうすこしだいじょうぶそうだみょん」 「ぱちぇはこういうところ、くらくておちつくわ~」 あれからも回収は進み、とうとう残すところ、あと五つとなった。 今日は洞窟に来ている。 薄暗く足元に不安があったものの大した仕掛けや障害は無く、おおむね順調に調査、回収が終わった。 そして・・・ 「ぐずめーりんのせいでれいむがおみずさんにおっこちちゃったよ!」 「はやくしんじゃったれいむにあやまってね!!あやまれないならどれいになってね!!」 「じゃおぉぉん・・・・・」 れいむも相変わらずだ。今日もめーりんいじめに精を出している。 ちなみについ先程小さな池に落ちて死んでしまったのもめーりんに一切責任は無く、単なるれいむの不注意だ。 そりゃそこら辺を考え無しに跳ね回っていれば池にも落ちるだろう。 勿論自分から助けようとして死にに行く無謀なゆっくりはいない。 が、れいむ達はそうは思っていない。 むしろ最近は悪い事は全部めーりんのせいと思い始めている節がある。 本来ならば早く止めなければならないのだが 「おやめなさい。死んでしまったのはあのれいむのふちゅういでしょうに」 それは私の仕事ではなさそうだ。 「なに?さとりも「べつにだれかの味方というわけではありませんが、今回はれいむに非があります」ゆっ!?」 「どぼじで「むしろいわれもない罪でせめたてるあなたたちの方がよっぽどひどいと思いますが」ゆがあぁ゛ぁ゛!」 次々とれいむ達の言うことを先読みして、的確な意見を出すあのゆっくりは、さとりと言う。 目の様なアクセサリーをつけていて、死んだ魚のような目をしている彼女は礼儀正しく、そして少しばかり毒を吐く。 どうやら人、ゆっくりに関わらず心を読むことができるらしい、恐るべきゆっくりだ。 「めーりんたちも、もう心配はいりませんよ。え?いえいえ、おれいなどいりません」 「じゃおおん。じゃおぉぉん」 心を読むためにめーりんの言うこともわかるらしく、とても気に入られているようだ。 他のゆっくり達の心に隠された不安を取り除く、カウンセラーのようなことをやっている。 流暢に話せて頭もいいので、ぱちゅりーや私の話し相手にももってこいだ。 つい二日ほど前。倒れていたところを偶然発見して、救出したのが出会いだった。 話を聞いてみると、どうやら姉妹を探して各地を回っているそうな。 私達がこの星を飛び回っていることを知ると、連れていってくれと頼んできた。 理由は言わずもがな、姉妹の探索である。 こちらもまだ搭乗数に余裕はあるし、本人も何かしらの役には立つと言っているので迎えたのだ。 実際は上記のとおりに活躍してくれている。特にめーりんのことに関しては本当にありがたい。 余談ではあるが、“姉妹”と言う事は、ゆっくりにも性別があるのだろうか?と、ふと思った。 思えばれいぱーも性器のような物を持っていたし、それなら一括りに“彼ら”で纏めるのは失礼ではないのか? 以上の疑問をぱちゅりーにぶつけたところ、 「ゆっくりにそういうのはないわ。 あとすっきりーっにも、えっと・・・あかちゃん? とにかくそんなものきいたこともないわ。ゆっくりはあいさつされるとじめんからでてきて、 すっきりーっはきもちいいけどやりすぎるとしんじゃうもの。っていうことしかしらないの」 と言うことらしい。博識なぱちゅりーが知らないということは、本当に無いのだろう。 しかし、それなのに姉妹という概念はあるのは不自然だと思うが・・・まあ気にしないでおこう。 ともあれさとりは非常に抑止力、またはカウンセラーとして役立ってくれている。 ただ・・・ 「さとりはだまっててね!あとちかよらないでね!!!」 「こころをよむなんてきもちわるいよ!かわいいれいむのかんがえてることよまないでね!!」 「ろこつにちかよってくるなんていやらしいよ!くずめーりんとおにあいだね!!」 「どぼじでぞんなひどいごど言うんでずがああぁぁ゛ぁ゛!!?」 問題は、彼女自身が打たれ弱いことか。 淡々と毒を吐いたりするのでてっきり神経が図太いと思っていたが、 意外にさとりはガラスのハートの持ち主だった。 嫌味や遠まわしな悪口であればあるほど的確に倍返ししてくるのだが、 率直且つ単純な拒絶の言葉をぶつけられると簡単に傷ついてしまう。 よって語彙も遠慮もなく、ズケズケと自分の意見を通してくるれいむはさとりにとって天敵だったようだ。 「わだじだっでずぎでこころをよんでるわげじゃないでず・・・ も゛ういっぞあのこのように目をとじでじまいだい・・・・・・」 あぁ。またなにやら失意のあまりえらい事になりそうになっている。 止めなければ。ぱちゅりー!! 「わかってるわ!!えーっと、さとり!れいむのいうことをまにうけちゃだめよ!! ことばがたりないせいでああいうしかなかったの!わるぎはないのよ!!」 ああ。悪気がないのは本当だ。・・・だからなお悪いのだが。 最近思えてきたのだが、悪気もなくあそこまで自分勝手にボロクソ言えるのも一種の才能ではないだろうか。 羨ましいとは全く思わないが。 「・・・そうですね、ありがとうございます。もう少しがんばってみようとおもいます」 「むきゅん、それがいいわ。くじけちゃだめよ!!」 考えているうちに説得が完了したようだ。毎度の事ながらぱちゅりーも頑張るな。 「むきゅ~、さとりはかしこいからことばにきをつけないといけないの。・・・つかれるわ」 確かに大変だろう。説得役は私と交代でやっているのだが、だからこそぱちゅりーの苦労はわかる。 まあ、おかげでさとりも大丈夫だろう。それにしても・・・ 「さとりをやっつけてやったよ!やっぱりれいむがいちばんだね!!」 (なんでほかのゆっくりをいじめてよろこんでるの?わからないよ~・・・) 「いちばんゆっくりできるのはれいむなのになんでにんげんさんはやさしくしてくれないんだろうね!!」 (めーりんにはくずくずいってやさしくしないくせに、よくいうみょん・・・) 「きっとにんげんさんのめがふしあななんだよ!あんなよわいぱちゅりーといっしょにいるんだもん!!」 (ぱちぇはたしかにからだがよわいけどあなたたちとくらべても、そうちがいはないはずだわ・・・) ・・・どうしたものか。もう他のゆっくりも敵意を隠しきれていない。 れいむ達は鈍いから気付いていないが、このままではそう遠くないうちに不満が爆発する。 できればやりたくはなかったが、このまま和が壊れる前にれいむを捨てるしかないのか・・・ 頭を抱えて私はれいむをじっと見つめた。 「ゆっ?どうしたのにんげんさん。・・・れいむにみとれてるの?」 「やっとれいむのみりょくにきづいたんだね!!かわいくてごめんね!!!」 暢気なものだ。どういう扱いになるかもわからないのに、それも知らずにこんな事を本気で言っているのだから。 もはや救えないか。 仕方ないと、溜息をついて裁決を下そうとした瞬間、洞窟の奥から声が聞こえた。 「・・ぅー・・・」 声はどんどん大きくなっていき、やがて何者かの姿が見える。 「うっうー☆こっちからおおきなこえがしたどぉ~」 「う~♪あまあまがいっぱいあるどぉ~!!いただきま~すだどぉ~!!」 「えらびほうだいたべほうだいだどぉ!きっとかわいいれみぃへのごほうびねぇ~ん☆」 声の主は膨れた顔と体の・・・女の子!?馬鹿な!この星に、しかもこんな洞窟にどうして人間が!! なにやら少し、こう、ズレたセンスの帽子と服を着ていた。 計十人ほどいる女の子はゆっくり達を見ながら、笑いながら頭の悪そうな話し方で物騒なことを言っている。 これはどういう事なのか、ぱちゅりーに聞こうとすると・・・ぱちゅりーは震えて、固まっていた。 他のゆっくりも同じだ。あのみょんまでもが女の子を睨みつけたまま動かない。 そして「「「「「れ、れみりゃだぁぁぁ!!」」」」」れいむの一言が合図になった。 れいむは真っ先に逃げ、それに反応したようにれみりゃと呼ばれた女の子が一人襲い掛かった。 「ゆ、ゆっ!?やめてね!はなしてね!!あ゛っあ゛っ!あんごずわな・・い・・・で・・・」 そして逃げ惑うれいむの内、一匹に噛み付くと見る見るうちにれいむと中身を吸い尽くす。 「ぼ・・っど・・・ゆっぐ・・り・・・・・・」 「うー☆でりぃしゃすなんだどぉ!まだまだたりないからおなかいっぱいたべるんだどぉ!!」 ペラペラのカラカラになって、苦悶の表情を貼り付けたまま絶命するれいむ。 女の子はれいむのミイラを放り捨て、すぐに別のれいむを捕まえて、また躊躇なく中身を吸い始めた。 このままではれいむが全滅してしまうぞ! そうしてるうちに、女の子は手当たり次第にゆっくりを襲い始めた。 「うっう~♪はやくつかまるんだどぉ~」 「ちぇんはそうかんたんにつかまらないんだよ!あきらめてねー!!・・・に゛ゃ!!?」 ちぇんは必死に紙一重で逃げ回っている。が、そのうちに捕まり、中身を吸われ始めた。 「・・・れみりゃあいてじゃさくせんはむだだみょん! とにかくたくさんでおそいかかってだれかがつかまったらかまわずそのすきをつくんだみょん!!」 「「「「「ちーんぽ!!」」」」」 「うぅ゛~っ。いだいんだどぉ!なまいきなんだどぉ!! れみぃのすぴあ☆ざ☆ぐんぐにるをくらうんだどぉ!!」 「ぢ、ぢーんぼぉ!!」 「み゛ょん゛!!」 「さとりたちはさがってるみょん!!」 「大丈夫ですか!?」「じゃ、じゃお!?じゃおぉん!!」 みょんたちもさとりとめーりんたちを守りながら必死に応戦しているが、 女の子が持っている木の棒で払われて潰されていく。 そしてこっちにも一人、ゆっくりとやってきた。 ぱちゅりーも固まってる場合ではないぞ!一体あの子達はなんなんだ!! 「・・はっ!ごめんなさい、おにいさん!! あれはにんげんさんじゃないわ!ゆっくりよ!」 あれがゆっくり!?しかし体が・・・ 「れみりゃは“どうつき”のゆっくりなのよ! しかも“ほしょくしゅ”だから、なんとかしないとみんなたべられちゃうわ!!」 ほしゅくしゅ?・・・捕食種か!!よく見れば背中からコウモリの羽のような物が生えている。人間ではない様だ。 確かに、今の状況を見ていると他のゆっくりに比べて圧倒的だ。動きは遅いのに、手足があるだけでこうも違うのか。 今は数でなんとか押せているけど、そのうちどんどん不利になっていく。何とかせねば・・・しかしどうやって!? 「う~☆やっとあまあまたべれるどぉ♪いただきますだどぉ!」 「う゛ぎゅっ!?ぢ、ぢ、ぢーんぼぉ・・・!」 「みょん!・・・いまのうちにかかるみょん!みょんのぎせいをむだにするなみょん!」 「ぶぎぃっ!?いだいぃぃ!!でびぃのぷりちーなおかおがあ゛ぁぁ゛ぁ゛!!!」 「ぜーっ、ぜーっ・・・もう、うごけない・・・に゛ゃ!?」 「つかまえたどぉ♪れみぃのかりしゅまがあればこんなもんだどぉ☆」 「ちぇーん!!・・・ちぇんをはなすんだよ!わかってに゛ゃん!!」 「うるさいんだどぉ!かわいいれみぃにたべられるのをこーえーにおもうんだどぉ☆」 「に゛ゃ・・・に゛ゃ・・・わが・・・ら・・・な゛・・い・・・」 「「「「「ちぇぇぇーん!!!」」」」」 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っ・・・がわいいでいぶ・・・ゆ・・っぐり・・・」 「ここはほかとちがってかんたんにたべられるんだどぉ♪ ・・・でもちょっとまじゅいんだどぉ」 「あ゛あ゛あ゛!!でいぶぅ!ゆっぐりじでよぉぉ!!!」 「や、やめてね!たべるなられいむを・・・ゆ゛あぁぁ゛ぁ゛!!やっばりやべでぇぇぇ!!!」 「うっう~☆うあ☆うあ☆」 やはり押されてきたか・・・! 「ぶぎゃ!?・・・どぼじで・・でびぃ・・が・・・・」 私の頭の上のぱちゅりーを狙った奴を潰して、予想どおりの展開に思わず舌打ちした。 奴らは私が相手なら、そうたいしたものでもない。が、ゆっくりが相手ではそれどころではない。 私がカバーに入っても、とても全部は無理だ。どうする?いっそ何も考えずに片っ端から・・・ 「「「「「じゃぉぉぉぉん!!じゃおおぉぉぉぉん!!!」」」」」 とうとうみょん達に守られていためーりんたちが泣き叫び始めた。 当たり前だ。元々臆病なめーりんたちがこの状況に耐え切れるわけがない。 だが、それが災いしたのか――― 「うぅ~?あそこにもないてるゆっくりがいるどぉ!あれならかんたんにたべれるどぉ!!」 「ほんとだどぉ!しゃしゅがれみぃはいいことかんがえつくんだどぉ!!てんさいなんだどぉ!!」 痺れを切らした二匹のれみりゃが、泣き声に気付いてめーりん達に一斉に群がった。 「「いっただっきまーすだどぉ!!」」 二匹は口を広げてめーりんに噛み付く。駄目だ、間に合わない! 「「「「うー!!ゆっくりしね!!!」」」」 「「うっう~?なんなん、ぶぼぉ!!?」」 しかし突如横から、というかどこからともなくやってきた赤い物体が、高速でれみりゃを弾き飛ばした。 「じゃお、じゃおぉぉん!!」 「めーりんをいじめるやつはどいつもこいつもみんなゆっくりしね!!」 謎の物体の正体は四人の、赤い服を着た金髪の女の子。 体型とかがれみりゃに似ているところを見ると、おそらくゆっくりだろう。 「「「「「ふ、ふりゃんだぁぁぁ!!」」」」」 「「「「「うわぁぁぁぁ!!ふらんだぁぁぁぁ!!!」」」」」 今度はれいむだけでなく、れみりゃまでが慌てて逃げ出した。 ふらんと呼ばれたゆっくりはれいむやちぇんたちには目もくれず、れみりゃにだけ襲い掛かる。 「ぶえぇぇぇ!!いだい!だずげでざぐやぁぁぁ!!」 「うー!!くらえ、れーばていん!!」 「でびぃはこーまかんのおじょーざまなんだどぉ!いうごどぎがないどざぐやが・・・ぶぎぃ!!」 「うるさい!ゆっくりせずにしね!!」 のそのそと逃げるれみりゃたちとは対象的に、ふらんたちは非常に俊敏だ。 いとも簡単に追いついて持っている木の棒で頭を刺したり、徹底的に顔を殴りつけて潰したりしている。 「ど、どういうことだみょん?なんでふらんが・・・」 「こんなみょんなことはみたこともないみょん!」 「とにかくたすけてくれるんだね!ありがたいよー!!」 「・・・あとでたべられたりしないよねー?」 「たすけてね!れいむはおいしくないよ!!」 一部を除いて、今の状況に困惑気味だ。どうやらこれは異常な光景らしい。 「じゃおん!じゃおおぉん!!」 「なるほど・・・少し前におともだちになったゆっくりだったんですね」 「むきゅ!?そういえばまえにといってもつよいおともだちがいるっていってたわね。 まさかふらんのことだっただなんておもわなかったわ」 どうやらあのふらんはめーりんの友達のようだ。ならば味方ということでかまわないのだろうか。 「たしかにふらんとめーりんはなかがいいこともあるらしいけど・・・」 今や戦況は一変していた。 あれだけ好き放題やっていたれみりゃは数で勝っているにもかかわらず、 戦う気も起こさずに逃げ回り、ふらんに狩られてどんどんその数を減らしてゆく。 「う゛・・・う゛っうぅ・・・なんででびぃがこんなべに・・・」 「だまってゆっくりしね!!」グシャ そうしてる内に、とうとう最後のれみりゃを潰し終えた。 私とみょんたちが潰した数を差し引いても、実に八匹ものれみりゃを片付けたことになる。 そして、れみりゃの死骸を蹴り飛ばしたふらんたちはこちらに向かって歩いてきた。 一瞬身を固くする、めーりん以外のゆっくりたち。 それもそのはず。ぱちゅりーが言うにはふらんも捕食種らしいのだ。 あの速さが相手となれば、脅威は先ほどのれみりゃの比ではない。一応気は引き締めておかないと・・・ 「じゃおおぉぉぉん!!」 「うー、だいじょうぶ?だれかゆっくりしちゃってない?」 「じゃおん!!」 が、一向にこちらを襲う素振りは見せない。どうやら大丈夫そうだが・・・? 「う~?これがめーりんのいってたにんげんさん?」 「ゆっくりもたくさんいる!ゆっくりし・・・なせちゃだめなんだよね」 「じゃお!?じゃおおぉぉん!!」 「うー。わかってる・・・めーりんのおともだちならふらんにとってもおともだちだもんね」 反応を見る限りこちらに対しても敵意はないようだ。 その事に少し安心すると、ふらんたちは一斉にこちらに振り向いた。 「めーりんがぶじでよかったね。ついでにほかのゆっくりも」 ・・・あぁ、ぱちゅりーではなく私に言っているのか。 いや、確かに助かった。しかし何故急にこんな所に? 「うー・・・ふらんたち、れみりゃいじめてあそんでたの。そういえばここどこだろ?」 「そしたらめーりんのゆっくりできないこえがきこえたからたすけにきたの」 なるほど。遊んでたら遠くまで・・・ と言うか、知らないところまで来てしまうほど熱中していたのか。 「それじゃそろそろかえろっか・・・うー、ここどこなの?」 「さあ?どこかわかんないけどきっとなんとかなるよ」 「うぅ~・・・・・・」 用は済んだとばかりに引き返そうとしたふらんたちだが、 一匹だけがめーりんたちを見たまま動かない。 「うー、どうしたの?」 「じゃお?」 「・・・・・・やっぱりふらん、めーりんたちについてく!!」 「「「うー!?なにいってるの!!?」」」 突然の提案に他のふらんは驚いている。 それはふらんだけではない、私達もだ。 「このままじゃしんぱいだよ!またれみりゃがきちゃうかも!!」 まあ確かにこれから先、奴らに遭う可能性は決して低くないだろうが。 「ふらんがひとりでもいればあいつらみんなにげてくよ!だから・・・」 言いたい事はわかる。しかしふらんは捕食種だ。 他のゆっくりがなんと言うか・・・めーりんはどうして欲しいのだろう。 「じゃぉ・・・じゃおぉぉん!!」 「他のゆっくりをいじめないならついてきてくれるとうれしい、だそうです」 当たり前というか、最低限の条件だな。ふらんは守れるのだろうか? 「うー・・・でもおなかすいちゃうし、ゆっくりたべないとふらんがしんじゃうよ!」 困ったものだ。まさか饅頭であるゆっくりにも、食欲がある者がいるとは・・・ 正直、私としては居てもらえると非常に助かる。しかし他のゆっくりを死なせるわけにもいかない。 生贄に捧げるようで気が進まないのだ。当然だろう。 頭を悩ませる私を不安げに見上げるめーりんたち。ふらんもじっと見つめている。 「むきゅ・・・どうしましょう、おにーさん」 「みかただとこころづよいけど、さすがに吸われちゃうのはゆっくりできないですね・・・」 「ちぇんもこのふらんはこわくないけど、しんじゃうのはやだよー」 「たたかいのなかでしぬことこそぶしのほんかいだみょん!そんなしにかたはいやだみょん!」 「う~、どうするの?ふらん。はやくきめてよ」 「うぅ~・・・・・・」 皆、ふらん自体が嫌なわけではないが、食われるのは御免のようだ。 「ふらんもれいむをゆっくりさせてくれるの?れいむはだいにんきだね!!」 「ついでにじゃまなくずめーりんたちもたべちゃってね!」 「さっさとしてね!ふらんだからってぐずはきらいだよ!!」 「ほしょくしゅもとりこにしちゃうれいむのみりょくはすごいね!」 「「「「「ゆっゆ~ん、かわいくてごめーんね!!!」」」」 ただ一種族を除いて。 れいむ達は、ふらんが敵ではない事を確認すると逃げ惑うことをパッタリとやめてしまった。 それどころか他のゆっくりのように自分のために働いてくれると思い込んでしまったようだ。 実際はまだ味方になったわけではないのに、のんきなものである。 味方どころかふらんは友達のめーりんを馬鹿にされたことでイラッとしているというのに。 「・・・ごはん、ねぇ」 「じゃまなゆっくり・・・だみょん」 「ゆっくりごろしはゆっくりできないけど・・・」 「・・・めーりんばかにしたな・・・!!」 いや、ふらんだけではない。他のゆっくりの目までが妖しく輝いている。まさか・・・ 「ええ、そのまさかでしょう。 “殺さなければいい”だそうですよ。・・・私もどういけんですが」 やっぱり。だめだ!れいむを生贄にするなんて・・・ 「じゃあほかにほうほうがあるのかみょん!?もうみょんはげんかいだみょん!」 私の制止の声を聴いて、みょんが怒りをあらわにした。ここまで怒ったところは見たことがない。 そしてそれに続いて堰を切ったように他のゆっくりも不満をぶちまけ始めた。 「そうだよ!なんでれいむだけいっつもなんにもしないのに、あんなにえらそうなの!?」 「めーりんやさとりをいじめてよろこぶなんてゆっくりできないよー!!」 「おうたかなにかしらないけどうるさくてしゅうちゅうできないみょん!!」 「じゃ・・・じゃお?じゃお?」 あまりの勢いに、唯一この場で悪意を持たないめーりんは混乱している。 「だいじょうぶよ。ちゃんとすいきらなきゃしなないわ」 「しばらくほうっておけばなおるよ。わかってねー」 「いままですきかってやってきたぶんのつけをはらうんだみょん。とうぜんだみょん」 いや、しかし殺さないからと言って・・・ 「どうするおつもりですか?もうみんなこれいじょうはがまんはできませんよ。 折角のふらんのもうしでをことわれるほどの余裕もありません。 それになによりもみんなが怒っているのは、あなたの事です」 私の・・・?どういうことだ。 「あいつのせいでおにいさんはちっともゆっくりできてないみょん!」 「ゆっくりさせるなんていいながらじゃまばっかりしてるよ!!わかれよー!!」 「いくらわるぎがなくても、おにいさんがもうそろそろげんかいだってことぐらいきづくべきだわ! それができないなら・・・せめてできるはんいでやくにたつべきよ」 なんという事だ。私の悩みは、みんなにバレていたのか。 「まああれだけれいむのほうを見ながらため息ばかりついてれば、だれだってわかりますよ」 自分ではそこそこ隠し事ができるほうだと思っていたのに・・・ 「それはもういいわ、おにいさん。それよりもれいむのことよ」 「おにいさんもあまり時間がないんでしょう?このさいぜいたくは言ってられないと思いますが」 確かにさとりの言う通りだ。これから更に困難になっていくと思われる以上、もう時間に余裕はない。 ・・・・・・本当に殺したりはしないんだな?食べても死なないんだな? 「うー。がまんするからたぶんだいじょうぶ・・・だとおもう」 「じゃお!?じゃ、じゃおぉん!!」 「やさしいのですね・・・でもいけませんよ、めーりん。もう決まったことなのです」 「・・・ほんとはだれもすきでこんなことはしたくないみょん」 「でもれいむのせいでゆっくりできないのはもういやなんだよ。わかってね・・・」 「じゃあ、ふらん。たべてもいいわよ。・・・ぜったいにぜんぶすっちゃだめだからね」 「うー、わかってる」 ついて来ると言ったふらん以外は、話がまとまると別れの言葉を残して去っていった。 そして早速、ふらんは離れた所で騒いでいるれいむ達の元にゆっくりと歩み寄る。 「ゆ?なんなの?ようがないならあっちいってね!」 「あんまりふらんがちかくにいるとゆっくりできないよ!どっかいっててね!」 「でもぐずのめーりんよりかわいいれいむのそばにいたいっていうきもちはよくわかるよ!」 「・・・まためーりんばかにした!」 れいむの言葉で、とうとうふらんの堪忍袋の緒が切れたようだ。 ふらんはれいむを一匹だけ持ち上げて 「ゆっ!?おそらをとんでる―――」 「ゆっくりいただきます!!!」 「―――ゆぎぇっ!!」 噛み付いた。 「「「「「で、で、でいぶぅぅぅぅ!!!」」」」」 「どぼじでいぎなりだべぢゃうのぉぉぉ!!?」 「ふらんはでいぶたちのどれいじゃなかったのぉぉぉ!!?」 「うわ゛ぁぁぁ゛ぁ゛!!!でいぶがぁぁぁ゛ぁ゛!!ゆっぐりじでぇぇぇ゛ぇ゛!!!」 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っ・・・あ゛っやべでっ、ずわないっでっ!!」 「うー。うー。ごちそうさまでした。・・・あんまりおいしくなかった」 「じっんじゃうっ。でいっぶ、じっんじゃっう」 ふらんの食事が終わった頃には、れいむはげっそりした痛々しい姿になっていた。 「ゆぁぁぁ・・・どぼじででいぶが・・・」 「ごんなのゆっぐりでぎないよぉぉ!」 「にんげんざん、どういうごどなのぉ!!?なんででいぶだちをゆっぐりさせでぐれないのぉ!!?」 私に向かって、何故、どうして、と口々に訴えかけるれいむたち。 それに答える言葉を私は持ち合わせていない。せめて好きなだけ言わせてやろう・・・と思ったのだが。 「れいむがはたらかないからわるいんだよ」ボソッ 「・・・ちぇん?いまなんていったの?」 「れいむがなんにもしないからわるいんだよ!」 れいむたちの声に答えたのは、ちぇんの怒りの声だった。 それを皮切りにして、みょんたちも次々と今まで溜めていたものをれいむにぶつけ始める。 「いっつもへんなおうたばっかりうたってなんにもしなかったよ!!」 「それどころかおにいさんのいうこときかないし、なんでもほかのだれかのせいにするし!!」 「れ、れいむはにんげんさんをゆっくり」 「おにいさんはぜんぜんゆっくりできてなかったよ!そんなことにもきづかなかったの?ばかなの?しぬの!?」 「ちがうよ!れいむはほかのゆっくりよりも!」 「なんだみょん!?れいむがほかのゆっくりよりもすごいところといったら、 ほかのゆっくりのわるぐちいってゆっくりできなくすることだけだったみょん!!」 「おまけにどれだけおこってもじぶんはわるくないってぜんぜんはんせいしなかったみょん! そんなれいむのどこがゆっくりできるんだみょん?ゆっくりできるのはれいむたちだけだみょん!」 「めーりんのほうがよっぽどゆっくりできるみょん! きがよわいめーりんのやさしさにつけこんですきほうだいいうれいむよりはみょん!!」 「「「「「う・・・うぅ・・・」」」」」 全員から責められて何も言えなくなったれいむたちの前に、さとりとぱちゅりーが出てきた。 「かわいそうだとは思います。あなたたちには心から悪気がないことも私にはわかっています。 でも、あなたたちはやりすぎました。もう少しはやくきづくべきでした」 「はたらくきがないいじょうここでおわかれするか、なにかやくにたってもらうしかないわ。 ・・・いまのあなたたちにできることはふらんをゆっくりさせることだけよ。 ときどきなかみをすわれるいがいはなにもしなくていいの。それくらいはがまんしてちょうだい」 「い、いやだぁ・・・」 「ゆっぐりさせでよぉ・・・」 「でいぶたべられたくないよぉ。にんげんさん・・・」 無情に告げられたれいむ達は、今度は助けを求めるかのようにこちらを見た。 しかし、それに答えるための言葉も私は持ち合わせていなかった。思わずれいむたちから目を逸らす。 ・・・行こう。 「いつまたれみりゃがくるかわからないみょん。さっさとかえるみょん」 「ふらんもこれからよろしくねー!!」 「うー、よろしくね」 「じゃおぉん・・・」 「行きましょう、めーりん。もう決まったことですから」 「ごほっごほっ。ひさしぶりにたくさんはなしたからつかれちゃったわ」 れいむたちを放っておいて、私たちはシャーク号まで帰ることにした。 誰一人としてれいむたちがいる方には目を向けない。 そしてれいむたちはと言うと、しばらく静かに泣いていたが だれもかまってくれないことがわかると急いで後をついて来た。 本当にこれでよかったのだろうか・・・? 現在のゆっくり ちぇん、20匹。みょん、15匹。めーりん、15匹。ぱちゅりー、さとり、ふらん、1匹。ふらんのお弁当、4匹。 ~脱出計画25日目~ ようやく・・・ようやくここまで来た。 目の前には(だれが作ったのかは知らないが)何故か大きな橋と、その先には最後となる部品が転がっている。 とうとう最後となったこの地域にはそれこそこれまでとは比べ物にならないほどに苛酷な環境が待っていた。 尺の都合上詳細は省くことにするが、とにかくみんなの力を合わせてここまで来たのだ。 「これでさいごかみょん・・・」 流石に疲れた様子でみょんが呟く。 彼らに限らず、私も含めた皆が満身創痍だ。 巧妙な罠や仕掛け。そして相次ぐゲスゆっくりやれいぱーたちとの連戦で随分数も減ってしまった。 ここまで残ったのは、ほとんどが出会った当時からずっと一緒にいるゆっくりばかりだ。 経験がモノを言ったのだろうと思う。 「けほっ。あとは、はこぶだけね。めーりん。つかれてるでしょうけど・・・」 「じゃおぉぉぉん!!」 「ここまでみんなのおかげで休めたからだいじょうぶ、だそうです」 「がんばろうね、めーりん!」 「「「「「・・・・・・」」」」」 皆が楽しそうに話す中、れいむたちだけが少し離れたところで黙り込んでいる。 この前までの、あの騒ぎようが嘘のようだ。 れいむがふらんの食糧となってから数日間。 皮肉にも皆の言う通りにしてれいむが大人しくなってから、私達の作業効率は大幅に上がってしまった。 今までのように迂闊にめーりんたちを馬鹿にすれば、機嫌が悪くなったふらんに食べられる。 言うことをきかずに好き勝手すれば、作業が長引いた分だけ空腹になったふらんに食べられる。 他にも、生意気を言えば食べられる。目が合うと食べられる。おやつ代わりに食べられる。 暇潰しに食べられる。地面から出た瞬間に食べられる。とにかく食べられるなど、数え上げればきりがない。 しかも確かに死ぬまで吸われることはないのだが、基本的に吸われた後はほったらかしである。 元々他のゆっくりとは基礎能力に差がある上に、体力が風前の灯となったれいむが進行について来れるだろうか? そんなわけがない。吸われたれいむのほとんどが、体力が戻る前に息絶えてしまっていた。 いくられいむでも吸われる事が間接的な死因となってしまうことは流石に理解している。 よってふらんに目をつけられないように、自分に出来る限り空気を読むことにしたようだ。 私もできれば助けてやりたいのだが、それは他のゆっくりに止められてしまった。 あれから以来、れいむに対するみんなの風当たりがとても強くなっていたのだ。 “れいむはあれがお仕事。あれだけしかできないんだから気を使ってあげる必要はない。” “皆だってお仕事中に死んじゃうことがあるのに、なんでれいむだけ助けるの?” などと、そんなことまで言われてしまっては流石に手を貸すわけにはいかなかった。 だがそのおかげで効率がグンと上がり、ふらんの助けもあってとうとうここまで来ることができた。 目の前ではめーりんたちが懸命に部品を持ち上げている。 最後だけあってかなり大きいのだが、彼らならきっと問題ないだろう。 さあ、帰ろう。そして・・・ ・ ・ ・ 帰り道。ほとんどのゆっくりが運搬に数を割かれている中、残った数少ないゆっくりと私は話していた。 残ったゆっくりは皆、始めてその種族にあった当初からついてきてくれている数少ない生き残り。 言わば最古参とも言うべき存在である。 ゆっくりは引き抜いた直後にある程度情報をリンクさせるらしいので 皆それなりに私に友好的なのだが、やはりこうも付き合いが長いと特別というか、愛着が湧く。 右手に絶壁、左手に少し底が深めの溝がある道を通っていたところで、皆が唐突に口を開き始めた。 「よかったね、おにーさん!これでやっとゆっくりできるね!!」 「みょんたちもがんばったかいがあったみょん!」 「これまでいろいろあったわね。・・・でも、もうおしまいね」 「じゃぉん・・・」 ぱちゅりーの一言で、場の空気が沈む。 そう。これで最後ということは、後は私が脱出するだけ。そして彼らとは・・・ わかっていたことだが、やはり少し気分が落ち込む。想像以上に、私は彼らが気に入っていたらしい。 だが、こうして沈んでいても仕方ない。 幸いリミットまでにはまだ時間がある。一日くらい時間をとってゆっくりしてもいいだろう。 この星に来て、初めての休暇だ。せめて思いっきり楽しい時間を・・・ 「そこまでよ!!」 「ここでとまってね!!」 またか!今度はなんだ?考え事をするといつも邪魔が入る!少しは場の・・・でかいな、オィ。 「どすにむかってえらそうだよ!にんげんのくせに!!」 「さっさとはなしをききなさい!むきゃきゃきゃきゃ!!」 声のした方をみると、そこには二匹のゆっくりが目の前に立ち塞がって大声を出していた。 なんだか気持ち悪い笑い方のぱちゅりーと、とんでもなく大きいまりさだ。 まりさの帽子の上に、ぱちゅりーが乗っている。 ぱちゅりーの方は単にゲスっぽいで済ませられるのだが、まりさの方は・・・色々と規格外だ。 とにかくでかい。私の身長の約三倍はある。道を埋め尽くすほどの大きさだ。 それにしても何の用だろうか?生憎と、もう助けは必要ないのだが・・・ 「なにいってるの!なんでゆっくりをいじめるにんげんをたすけなきゃいけないの?」 「むきゃ!どすがにんげんのいいなりになるとおもったらおおまちがいよ!」 虐める・・・?どういう事だ。 「とぼけてもだめだよ!みんなにぴかぴかさんをはこばせたり、れいぱーとたたかわせたり、 ふらんにれいむをたべさせたりしてたでしょ!どすはぜんぶみてたんだよ!!」 ああ、そういうことか。れいむはともかく、他の子はみんな善意で・・・ 「だまってね!もうにんげんなんかにすきかってさせないよ!! どすがみんなをつれてくからね!それでとってもゆっくりしたむれをつくるからね!!」 怒っているのはわかるが、いまいち話の要領がつかめない。 連れて行く?群れ?なにがなんだかサッパリだ。 「むきゅ!まさかどすがいるなんておもわなかったわ! どすはゆっくりのむれのおさになるべきゆっくりなのよ。 ゆっくりをゆっくりさせるのがおしごとなんだって。ぱちぇもみたのははじめてだけど」 なるほど。リーダー種か。名前はドスまりさとでもしておこう。 しかし、これは調度よかったのではないか? 私がいなくなった後の引き取り手が見つかってよかったとも言える。 ぱちゅりーの言う通りならきっと悪いようにはしないだろうし・・・ まあ最後の部品を運び終わったら、引き取ってもらってもかまわない。 「なにいってるの?どすはいまほしいからいまからつれてくよ! ついでにそのぴかぴかさんもどすのたからものとしてもらっていくよ!!」 なんだと?それは困る! 「しらないよ!げすにんげんはかってにひとりでのたれじんでね! さあみんなそのぴかぴかさんもってついてきてね! そこのげすにんげんなんかよりもたくさんどすがゆっくりさせてあげるよ!」 ドスは自信満々に呼びかける。私の言葉など全く聞いていない。どうしたものか・・・ 「やったー!!どすがきてくれたよ!!」 「これでやっとゆっくりできるよ!!」 私が頭を捻っていると、一部のゆっくりが飛び出して、ドスの下へと駆け寄った。 ・・・れいむだ。 「よろしくね!どす!!れいむたちをゆっくりさせてね!!」 「やっとこれからゆっくりできるよ!!もうあんなところにいたくないよ!!」 「ゆゆ~ん♪やっぱりかわいいれいむがさいごにはかつんだね!!」 「・・・よろしくね。れいむ」 私の下にいたれいむが軒並みあちらに移ったようだ。 理由は聞かなくてもわかるが・・・ドスがあまり嬉しそうじゃないのは何故だろう。 「あのにんげんぜんぜんれいむたちにやさしくしてくれなかったよ!」 「せっかくゆっくりさせてあげたのにおれいもいわなかったよ!」 「ゆっくりさせてあげたんだからゆっくりさせてくれるのがあたりまえなのにね!」 「そうだね!おまけにふらんにかわいいれいむたちをたべさせるなんてさいてーのげすにんげんだよ!!」 次々と出てくるれいむたちの不満。まさかここまで恨まれていたとは・・・身に覚えがないのがほとんどだが。 それにしてもれいむがみんな行ってしまったという事は、 「さあ、ほかのゆっくりもみんなこっちにきてね!! どすがしあわせーっ!!にしてあげるよ!!さっさとこっちきてね!!」 他の皆も行ってしまうかもしれないという事だ。 ふと様子を見ると、皆はうつむいて考え込んでるようだった。 「そんなげすにんげんなんかほっといてはやくこっちきてね! むれをつくってどすがだいすきなゆっくりぷれいすにしようね!!」 ・・・正直、ここまで来て諦めきれないというのが本音だ。 しかし、もうここらへんで終わりかもしれないな。 ゆっくりの長と、偉そうに命令するだけの人間じゃ差は歴然だ。だれだって前者について行きたくなる。 「さっさとしてね!かんがえなくてもわかるでしょ? そんなえらそうなだけのやくたたずよりもどすのほうがえらいんだよ!!」 「むきゃ!しかもこっちにはそんなのうなしぱちゅりーじゃなくて このもりのけんじゃのぱちゅりーさまがいるのよ!こっちにきたほうがいいにきまってるわ!!」 ・・・奴らの言っていることは非常に腹が立つが、私にはどうしようもない。 あんなに大きなゆっくりを倒す方法も思いつかないし、せっかく彼らが平和に暮らせるチャンスを・・・ 「おことわりだよー」 ・・・なんだって? 「どすのところにはいかないよ!ちぇんたちはおにいさんといっしょにいるよ!」 「みょんたちもどすのところにはいかないみょん!ゆっくりぷれいすなんかいらないみょん!!」 「ぱちぇもやめておくわ。のうなしっていわれたのもきにいらないし」 「じゃおおぉぉん!!」 「行かない、だそうですよ。私もけっこうです。だって、あなたたち・・・」 「うー!めーりんたちがいかないならふらんもいかない!!」 私のそばにいるゆっくり達が、一斉にドスに向かってお断りの返事を言い始めた。 いや、そばにいる者だけではない。運搬中の者達も、荷物を下ろして一斉に騒いでいる。 「ど、どぼじでぇぇぇ!!?どずがゆっぐりさせであげるっていっでるのにぃぃぃ!!」 その通りだ。このままついて行けば仲良く、平穏に暮らせるというのに。 「それでもおことわりだみょん!」 「おにいさんのこともよくしらないのにわるくいうどすなんかといっしょにいきたくないみょん!!」 「どすなんかいなくてもちぇんたちはゆっくりできてるんだよ!わかるねー?」 「じゃぉぉぉん!!じゃおおぉぉぉん!!!」 「そうですね。めーりんのいうとおりです。 いきなり出てきてすきほうだい言っているあなたたちよりも、 私たちはおにいさんをえらびます。そもそもいじめられてなどいませんしね」 「つまりあなたたちよりもおにいさんといっしょにいたいのよ。 いっしょにいれるじかんがあとちょっとしかなくてもぱちぇたちはおにいさんといっしょにいるわ!」 まさかここまで慕われていたとは。不覚にも少し感動してしまった。 しかしそれではドスたちは・・・ 「ゆぐっぐぐぐぐ・・・・!!どういうことなのぱちゅりー! いってたこととぜんぜんちがうよ!!」 「むきゃ!?そ、そんなことないわ!!かしこいぱちぇのかんぺきなさくせんが・・・ぱちぇのせいじゃないわ!!」 「なにいってるの!ぜんぶぱちゅりーがいいだしたんでしょ!? どすがでてきてにんげんさんをばかにすればみんなあきれてついてくるっていったじゃない!! にんげんさんがそだてたゆうしゅうなゆっくりでどすのかんっぺきっなむれをつくろうとしたのにぃ・・・」 なるほど、そういうことか・・・ それにしても随分と勝手にペラペラとばらすものだ。これでは語るに落ちるとも言えない。 「・・・まあそういうことです。あのドスたち、ずっとそのことばかり考えてましたよ」 しかもモロバレだったらしい。そりゃついて行かないか。 「いえ。それはあくまでも私だからわかったことです。 みんなは本当に心からドスよりもあなたをえらんだのですよ。にんきものですね。 ああ。もちろん私だってしらなくてもあなたをえらんでましたので。かんちがいしないでくださいね?」 そう言われるとどうにもむず痒くなる。だが、悪い気はしない。 「ど、どうしたの?どす。ゆっくりできてないよ?」 「あんなゆっくりがいなくてもかわいいれいむたちがいるよ!!しんぱいしないでね!!」 「ぐぞぉぉぉ!!こんなやくたたずでもなにかのやくにたつとおもったのにぃぃぃ!! おまえたちなんかいらないよ!ドスがほしいのはゆーのーなゆっくりだよ!!さっさとどっかいってね!」 「「「「「ゆがーん!!!」」」」」 れいむはおまけ扱いか。流石にここまで来ると可哀想だな・・・ それにしても、結局奴らはどうするのだろう。 あそこを退いてもらわないと帰るに帰れないのだが。 「う゛う゛う゛う゛・・・もうゆるさないよ! こんなどすのすごさがわからないゆっくりなんていらないよ!! にんげんといっしょにどすすぱーくでころしてやる!!」 「むきゃ!!やっちゃえ、どす!ぱちぇのおもいどおりにならないゆっくりなんていらないわ!!」 「いくよ!むーしゃむーしゃ・・・」 とうとうドスが逆上した。言ってる事はまるで子供の我侭だが、あのサイズでは暢気にしていられない。 そしてドスが何かを食べるような動作をすると、徐々にドスの口内が光りだす。なんだ、あれは! 「むきゅっ!?いけないわ。あれはどすすぱーくよ!!」 どすすぱーく!?・・・なにやらまずそうな雰囲気がプンプンするが、やっぱり危険なのか? 「とってもあついひかりをだす、どすのゆっさつわざよ! おおきないわもこわせるくらいにすごいの!こんなせまいみちじゃにげられないわ!」 熱光線!?そんな馬鹿な!!熱光線が出せる生物なんか・・・いや、もう気にするのはやめよう。それこそ今更だ。 それよりもどうする。ぱちゅりーの言うことを信じるならば、到底防ぎきれる物ではない。 当然逃げ場もないし、このままでは全滅してしまう。 右の崖はとても登れそうにない。左の溝は・・・駄目だ、深すぎる。一度入ると這い上がる方法がない。 しかも溝の底には、少しだけだが水が流れている。それだけでも時間がかかればゆっくりにとっては致命的になる。 ふらん!ドスを何とかできないか! 「うー・・・たぶんむり。かてないわけじゃないけどじかんかかる」 ですよね!なら説得は・・・ 「ほうふぐうへるひょ!ひんあひはごおひはよ!!ひゅっひゅっひゅっひゅ!!!」 「むきゃきゃきゃきゃ!!おばかなぱちゅりーといっしょにゆっくりできなくなっちゃいなさい!!」 ああ、なんだか駄目っぽい。口が開いて何を言っているのかは解らないが、絶対ろくな事じゃない。 ならこの際部品を盾に・・・だめだ。とても全員は隠れられない! まったくいい案が思いつかない。この星に来てからずっとこうだ! 「やべでぇぇぇ!でいぶなんにもしでないよぉぉぉ!!」 「どすはゆっくりさせてくれるんじゃなかったの!?しにたくないぃぃぃ!!」 「たすけてね!!たすけてよぉ!!にんげんさんでもいいからかわいいでいぶをたすけてぇぇぇ!!」 そうしてるうちにどんどん光は強くなっていく。 「ひふひょ!ほふふはーく!!!」 くそっ、こうなったら一か八か溝に飛び込んで――― 「そんなことしちゃだめだよ!!ゆっくりやめてね!!」 「ぎゅっ!!?」 『ボン!!!!』 「むぎゃっ!!」 全員に飛び込むように告げるために振り返った矢先に、ドスの方から巨大な爆発音が聞こえた。 「ゆ゛っ・・・ぎゅ・・・どぼ・・じ・・・でぇ・・・」 「な゛に゛が・・・がじごいばぢぇ・・・ゆっ・・ぐり・・・」 何事かと見てみると、ドスは口の中が爆発したようにえぐれて片目が飛び出ている。 頭上のゲスぱちゅりーも何かに潰されたようにへこんで、クリームを吐いていた。何が起きたのだ? 「あ゛っあ゛っ・・・おぢるぅぅぅ!!」 「むぎゃあ゛っ!!?」 そしてバランスを崩して溝に落ちた。あ、ついでにぱちゅりーが下敷きになって死んだ。 ・・・よく分からないが、これは助かったのか。 状況がつかめないのでイマイチ実感が湧かない。一体あれからどうやって? 「おねえちゃーん!!」 「こいし・・・こんなところにいたんですね!」 急に聞き覚えが無い声が聞こえたのでそちらに向くと、 見知らぬゆっくりがさとりと体をくっつけている所だった。いつの間に!? ・・・よく見ると身に着けているものや雰囲気がどことなくさとりに似ているが、まさか・・・ 「はい。この子がさがしていた、いもうとのこいしです」 「おにーさん!あぶないところだったね!!」 彼女が例の・・・さとりと比べると随分快活な印象を受けるな。 ん?今の物言いだとまるで君が助けてくれたように聞こえるのだが・・・ 「そうだよ!かべのうえからあのあやしいどすをみてたんだけど、 おねえちゃんがあぶないところだったから、かべからとびおりてどすのあたまにぶつかったの!」 なんとも危ない真似をするものだ。一歩間違えれば地面に激突して死んでいたというのに。 しかしこれで合点がいった。ドスは頭からぶつかられた拍子に口を閉じてしまったんだな。 後は発射口を塞がれたまま暴発して・・・あの様というわけだ。ぱちゅりーはその余波を食らったのだろう。 「こいしは“むいしき”でうごけるからほかのゆっくりにもみつからないんだよ! これからのじだいは“すてるすこいし”だね!!・・・ね?」 無意識で、か・・・まるで武道の達人のようだ。いや、時代かどうかは聞かれても困るが。 「だ・・・だずげ・・・で・・・」 おお、忘れていた。どうやらまだ溝に落ちたドスが生きていたようだ。 「ごべんなざい・・・ばでぃざがわるがっだでず・・・だがら・・だずげで・・・」 うーむ。・・・済まない、無理だ。 「ど・・・どぼ・・じ・・・で・・・」 私達でも引き上げる方法がないと言っているのに、君のような巨体を引き上げる方法などあるはずがない。 それに、流石に殺そうとしてきた相手を助けようとするほど私はお人好しではないのだ。 時が経てば、そのうち水で溶けて死ぬことができるだろう。 まあそれが何日、何ヶ月かかるかは解らないが・・・頑張ってくれ。 「ぞんな・・たすげで・・・いかないでぇ・・・やだ・・・やだぁ・・・・・・」 さあみんな。随分遅くなったけど、シャーク号へ帰ろう。 「どうなることかとおもったけど、みんなぶじでよかったみょん!」 「もうひとがんばりだよ!がんばろうねー!!」 「じゃおぉぉぉん!!」 「うー♪ふらんもてつだう!!」 「むっきゅん・・・ごめんなさい。すこしやすませてもらってもいいかしら?」 「ねえ、おにーさん。こいしもいっていい?」 ああ、もちろんだ。なんと言っても命の恩人だからな! 「やったー!!これでおねえちゃんといっしょにいられるよ!!」 「そうね。・・・どこをむいしきでふらふらしていたのか、ちゃんときかせてもらうわね」 「お、おねえちゃん、こわい・・・」 みんな思い思いに帰ってゆく。もちろん部品は忘れない。 これで本当に終わりなんだな・・・ 「に・・・にんげんさん?」 「れいむたちを・・・わすれないでね?」 そんなとき、れいむたちが恐る恐る話しかけてきた。まだいたのか。 「しょうがないねえ、にんげんさんは・・・」 「ひどいよにんげんさん。れいむをわすれるなんて・・・ふひっ」 れいむたちは仲間にしてほしそうにこちらを見ている。 「にんげんさん。まさかれいむをおいていったりしないよね?」 「かわいいれいむをゆるしてね・・・ごめーんね?」 「すてるわけないよね?つれていってくれるよね?」 なかまにしますか? お断りします! あれだけの事を言ったのだ。当然戻ってこれるわけがない。 今回は流石に私も見過ごせないし、もし私が許しても他の者達が絶対に許さないだろう。 「ぞんなぁ・・・だずげでよぉ・・・」 「こんなところにいちゃゆっくりできないよぉ・・・」 確かにここには草木が一本も生えておらず、すべてが岩肌で殺風景な事この上ない。 こんな所では、基礎能力が底辺のれいむたちではまともに生きていけないだろう。 まあしかし、あそこで罵詈雑言を言ったのが運の尽きだ。 このまま戻って他のゆっくりにフクロにされるか、ここで頑張って生きるかの違いなんだから耐えなさい。 「やだ・・・ゆっくりさせてよぉ・・・」 「おねがいします!れいむがわるかったです!あやまりますから・・・だからぁ・・・」 その言葉を、もっと早くに聞きたかったよ。 ずっと謝り続けるれいむたちに背を向けて、私はみんなの後を追いかけた。 ・・・さよなら、れいむ。 「「「「「い゛やだぁぁ゛ぁ゛ぁ゛!ゆっぐりざぜでよぉぉ゛ぉ゛!!!」」」」」 もう、私は振り返らなかった。 現在のゆっくり もう書く必要はない! ~脱出決行。別れの日~ とうとうこの日がやってきた。 私はいつものように防護スーツに身を包み、皆は見送る為にシャーク号の前に集まっている。 「おわかれだね、にんげんさん。わかりたくないよー・・・」 「いろいろとしゅぎょうになったみょん。ゆんせいいっしょうわすれないみょん!」 「じゃぉぉぉん・・・」 「うー、ないちゃだめっていったでしょ?」 「おにいさんのおかげでこいしも見つかりました。ほんとうにありがとうございます」 「もうどこにもいったりしないからだいじょうぶだよ!おにいさんも・・・またあおうね!」 「むきゅ~。でもおにいさん。ほんとうにぱちぇたちここにすんでいいのかしら?」 そう。ぱちゅりーが言う通り、彼らにかつて拠点であった場所である、ここに住むように私が勧めたのだ。 ここにはれみりゃやれいぱーどころかゆっくり自体がいない。よって敵となる者がいない。 彼らの繁殖方法がなんなのかは知らないけれど、思うがまま繁栄できるはずだ。 そしてふらんの食事なのだが、ここには沢山の果実がなっている事に気付いた。 色々と調べてみると、どうやら様々な果物が季節ごとに生るようだ。 ふらんが言うには、別にゆっくりじゃなくても甘いものなら何でもいいとの事なので、 これは使えないか?と思い提案した。 幸いふらんも気に入ったようだ。これでもうゆっくりを襲う事はないだろう。 仲間に会えなくてもめーりんや他のゆっくりがいるから寂しくもないらしい。 気候も落ち着いているし、近くに洞穴があるので多少雨が降っても大丈夫だ。 まさに“ゆっくりプレイス”だと言えよう。 最後にほんの少しだけど、恩返しができて本当に良かった。 ・・・さて、本当にもう行かないとな。 「おにいさん!たいへんだったけどたのしかったよ!!」 「みょんたちなかよく、げんきでやっていくみょん!しんぱいしないでみょん!!」 「じゃぉぉぉん!!じゃおぉぉぉぉん!!!」 「おともだちたくさんできて、ふらんとってもうれしかった。ありがとう!・・・うぅ~」 「私も、すこしじぶんがすきになれそうです!おせわになりました!」 「こいしはみじかいあいだだったけど、とってもゆっくりできたよ!ありがとね!!」 「おにいさん、ずいぶんあたまがかるくなったでしょ?・・・またのせてね!さようなら!!」 「「「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」」」 皆が口々に別れの言葉を告げてゆく。 が、しかし。これが今生の別れではない。 また会おうと思えばいつだって来れるのだ。・・・この防護スーツを纏って。 だから、きっと彼らにはこう言うべきなのだろう。 また会おう、と。 ~脱出後。シャーク号船内~ さて。救命信号も発信したし、最悪自力でも近くの補給コロニーまで行ける。もう心配する事はない。 帰ったらこの命がけの、それでいて不思議な冒険を話にまとめよう。 そして・・・まあ信頼できる近しい人間にくらいは見せてもいいだろうか。 だが彼らがいた星の場所に関しては、黙っていようと思う。 あそこは無闇に人が立ち入るような場所ではないように思えたからだ。 人々が彼らの存在を知る事で、邪な余計な考えを持つ者が訪れる必要はない。 彼らが望む事は、ただ自分と誰かが仲良く一緒にゆっくりする事だけなんだから。 私がいなくなった約一ヶ月間、随分世間を騒がせたのだと思う。 きっと帰ってから色々と忙しくなる。 だからせめて、彼らが別れ際に言ったとおりに今だけは思う存分ゆっくり休む事にしよう。 私はシートに身を預けて、この一ヶ月で何度も口にしたあの言葉を思い浮かべて目を閉じる。 ゆっくりしていってね、か・・・ なかなかいい言葉じゃないか。 ・あとがき ようやく書き終わりました。 かなりズルズル長引くし、正直放り出したくなった問題作です。 こうやって形にしてもなんだか気に入らないし、正直言って前編あげてなきゃお蔵入りだったでしょう。 それでも一応形にはしてみたので、読んで下さった方の時間が無駄にならない程度には・・・と思いたいです。 ちなみに、最近気づいた事ですが、私は通常種が嫌いなのではありませんでした。 れいむとまりさが嫌いなのです。あとレイパー。 なので今までもこれからも、とことん奴らを重点的に虐めていこうと改めて思いました。 最初はみんな好きだったのに、どこでこうなったんだろう・・・ では、ここまで長い間お付き合い頂いた方々。本当にありがとうございました。 また他の作品で!! 小五ロリあき ・過去作品 ふたば系ゆっくりいじめ 412 僕と『あの子』とゴミ饅頭と ふたば系ゆっくりいじめ 446 俺とゲスと自業自得な餡子脳 ふたば系ゆっくりいじめ 460 弱虫まりさとほんとの勇気 ふたば系ゆっくりいじめ 484 ドスと理想と長の資格 前 ふたば系ゆっくりいじめ 494 ドスと理想と長の資格 後 ふたば系ゆっくりいじめ 514 僕とさくやとおぜうさま ふたば系ゆっくりいじめ 548 てんことれいむとフィーバーナイト 前編 ふたば系ゆっくりいじめ 559 てんことれいむとフィーバーナイト 後編 ふたば系ゆっくりいじめ 583 ゆっくりしたけりゃ余所へ行け ふたば系ゆっくりいじめ 599 はじめてのくじょ~少女奮闘中~ ふたば系ゆっくりいじめ 615 お兄さんは静かに暮らしたい ふたば系ゆっくりいじめ 659 よくあるお話 ふたば系ゆっくりいじめ 674 かわいいゆっくりが欲しいなら ふたば系ゆっくりいじめ 701 おうちは誰の物? ふたば系ゆっくりいじめ 789 ゆめみるれいむときゃっしゅさん ふたば系ゆっくりいじめ 790 ユクミン 前 小五ロリあきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る れいむは囮です それだけしか取り柄は無い -- 2014-08-23 02 47 36 さとりとこいしかわいいよー。わかれよー。 -- 2014-08-11 20 44 33 ユクミン 続編お願いします -- 2013-08-12 00 25 35 とてもゆっくりできました。 続編書いてくれたら嬉しいなぁ・・・(チラッ) あとれいむざまぁwww -- 2013-04-03 04 04 59 ↓くいーんちゃっぴーやくはくいーんありすだねー、わかるよー -- 2012-10-01 19 27 14 ↓3 わかるよー くいーんちゃっぴーとかあめぼうずにぎゃくさつされるゆっくりがみたいんだねー -- 2012-08-24 00 36 33 このSSでここまで主人公とシンクロして読んだ作品は始めて。 そもそも自分こう言う話に弱いしw -- 2012-08-18 14 06 00 すばらしい!!!物凄くゆっくりできたよ!! 確かに主人公がほぼ傍観に徹してたのは少しもどかしかったかもしれません。 でも、それをさっ引いても凄くゆっくりできたよ!! -- 2012-03-19 12 52 51 ユクミン2編希望! -- 2011-11-03 12 06 56 ドスもゲスぱちぇもザマァ!wwww -- 2011-10-23 20 38 02 面白い! おにいさんとゆっくり達の友情に感動した。そしてれいむ達とドゲスともりけんざまぁww -- 2011-08-23 07 23 40 面白いなー 俺もやってみたいと思った -- 2011-06-09 13 07 20 やりたいなーこれ。 おにいさんはれいむどもの扱いに苦労してたけど、ゲームだったらむしろ進んで殺しまくりたい。れいむの集団を水に投げ込みまくったり、夜に置き去りにして現地生物に無残に殺されるところが見たい。 -- 2011-02-18 13 16 39 ユクミン2はまだですか? -- 2011-02-18 11 12 07 ↓×5 だってれみりゃとか頭悪すぎて説得理解できねえし、仲間になったとしてもわがままだし馬鹿すぎて味方食うだろうし、れいむ共と同じくクソ邪魔な汚物にしかなりえんよ。 れみりゃは可愛くないし冷遇して当然。と思うよ。 -- 2011-02-09 17 48 26 面白かった!! -- 2011-01-07 19 02 36 良い話だなー! オ●マーと、ゆっくり達(一部を除き)の友情に乾杯! -- 2010-11-14 20 11 28 好きだね -- 2010-10-16 22 09 54 葛藤して、変わって行く、捨てられない主人公がとても良かった。 ゆっくりで心温まる「対等の異種間の交流」が読めると思わなかったよ! ゆっくりに頼りきりの探索行なのに、不安が払拭されて行くのが面白かった。 -- 2010-10-06 20 01 53 主人公があくまで指揮者・傍観者に徹しているのがもどかしかったです。 だが元ネタがアレなので仕方ないのは分かるがむずむずしたよ。でもそれぞれの能力を活かした面白い作品でした。 ……しかし………… れみりゃの扱いがヒドイじゃないか!!! 胴付きれみりゃ10体登場のときは「おぜうさまも仲間に?ヤッター!!!」とか思ったのに、ふらん無双!? ぐがああああああ!!!可愛いれみりゃになんてことするんだ!おぜうさまは優遇して当然でしょうが! 何故れみりゃの扱いがデブ饅頭やゲロ袋と同じなんだよ!!!信じられん!狂気の沙汰だ! れみりゃ虐殺はこのSSの魅力を大きく損ねている!!! -- 2010-08-13 03 52 59
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/98.html
ゆっくりしっかく はしがき はじめに断っておかねばならない。 以下の文章は、私がまりさの話を聞いて、書いたものである。 私がまりさと出会ったのは、丁度今から一年位前のことで、 そのときまりさは、既にだいぶ老いたゆっくりだった。 体中に傷を負い、帽子は破れ、片目は潰れていた。 制裁か、事故か、虐待か、もっと他の理由か、それはわからない。 腹を空かしていたようなので、私は気まぐれの善意でまりさを自宅に連れ帰り、 いくらか餌をやったら、以下のようなことを私に語ったのである。 だから、文章の大筋はまりさの経験、ゆん生に即しているが、私の空想も多分に含まれている。 本文の中で“自分”としているのは、このまりさのことであるが、 その“自分”の言葉、行動、感想などは、一部を除いてほとんどが、私の想像である。 まりさとはすぐに別れたので、今この瞬間、まりさがどこで何をしているか、私は知らない。 おそらく死んだものと思われるが、断言は出来ない。 とにかく、私は私がまりさから聞いたことの一部始終を、誰かに聞いてほしかった。 だからこの文章を書いたのである。 まりさは賢いゆっくりで、沢山のことを記憶し、私に語ってくれた。 その体験はゆっくりとしては稀有なものと思われるので、 読者諸鬼意山の興味をそそるような事があれば、これ幸いである。 ゆっくりしっかく 恥の多いゆん涯を送ってきました。 自分はまだ子ゆっくりの頃に、いろんなことがあって故郷の森を飛び出しました。 そして、なんの当ても無く、ただただ歩きました。 歩いた先に、人間さんの住む街が見えましたが、自分はそこで疲れ果て、倒れました。 そんな自分を、助けてくれたのは、街に住む、ありすでした。野良のありすです。 自分にはありすの餡(正確には、餡ではないのですが)が流れています。 だから、ありすはそれを感じて、哀れに思ったのかもしれません。 ありすは自分を、分厚い、茶色い紙さんで出来た、ありすのおうちへと案内してくれました。 ありすは元々、人間さんに飼われていたらしいのですが、 その人間さんが他の土地へ移るのと同時に、捨てられて、それで野良になったのだそうです。 ありすは自分に、食べ物をくれました。お魚さんの頭と、お野菜さんのヘタでした。 少し酸っぱい臭いがしました。味は覚えていません。 ありすに「もうすこし、ここにいてもいい?」と聞くと、 「ええ、いいわ」とだけ、答えました。 それ以来、しばらく私はありすのおうちに居座ることになりました。 丁度、雪さんがちらつく季節で、私もありすも凍えるようでした。 ありすと私は頬を寄せ合い、寒さを凌ぎあいました。 ありすに、「かぞくは、いないの?」ときくと、「いないわ」と答えました。 「おちびちゃんが、ほしくないの?」ときくと、「ほしいわ」と答えました。 そして自分の方に、余計に擦り寄ってきました。 自分は森に、妻のれいむを遺してきていました。 れいむに嫌な所はありませんでしたが、その母親が、嫌でした。 れいむの母親は、長の従姉妹かはとこ(記憶が曖昧で、よく覚えていません)で、 常にそのことを鼻にかけているところがありました。 何かあれば、「れいむはおさのゆんせきなんだよ」と、自分を脅し、 自分の狩って来た獲物をゆすり取る始末でした。 さらにひどいのは、自分に対して、良からぬ事を求めてきたことでした。 自分は拒みました。拒めば相手も一旦は退きましたが、 すぐにまた、同じことを要求して来ました。 とうとう自分は、逃げました。なんの罪もない妻を置いて、群れを捨てました。 そしてただなんとなく、この街に来て、すぐに、あのありすに会ったのでした。 ありすとの間には、沢山のおちびちゃんが生まれました。 たしか、雪さんの溶けた頃でした。自分にそっくりなまりさが、一匹生まれました。 なぜか、自分はそのおちびちゃんを可愛いと思いませんでした。他のおちびちゃん達も、同じです。 ただの饅頭にしか、見えませんでした。 ありすが喜んでいたので、自分もそういう振りをしましたが、内心では全くの無感動でした。 おちびちゃん達が生まれても、自分はしばらく、ありすと一緒にいました。 しかし、食べ物は溢れていても、常に危険が付きまとうのが、この“街”というところでした。 ゆっくりは、人間さんたちから“いきもの”と認められていませんでした。 自分達は、“ナマモノ”と呼ばれていました。 ナマモノというのは、お魚さんや、牛さんや、豚さんの死んだものと同じ呼び方です。 つまりその程度の扱いしか受けませんでした。あるいは、それ以下の扱いでした。 何もしていないのに、すすんで自分達ゆっくりを殺そうという人間さんはあまりいませんでした。 でも、ゆっくりが人間さんの捨てたものを漁ったり、人間さんの物を盗ったりすると、 人間さん達は、全く容赦なく、ゆっくりを殺しました。 実際に何度か、ゆっくりの死体を見ました。 自分は生来臆病なので、そういった危険を冒す事はしませんでした。 “こーえん”と呼ばれる、小さな森のようなところで、 苦い苦い草さんや、小さな小さな虫さんを採っては、食べていました。 たまに木の実さんが取れると、それはごちそうでした。 しかし、寒い季節に採れる食べ物は微々たるもので、 自分とありすの二人きりのときはそれでもなんとかなりましたが、 おちびちゃん達が生まれると、とても足りなくなりました。 結局、ある日の朝早く、私はありすと、そのおちびちゃん達を置いて、そのおうちを出ました。 そして二度と戻りませんでした。また、逃げたのでした。 その日の夕方、自分は再び、街の中をぶらぶらと徘徊していました。 道端に、れいむの家族がいました。 れいむと、三匹のおちびちゃんたちでした。 れいむ達は、道端に紙さんを敷き、その上に座って、大きな声でお歌を歌っていました。 「ゆっくりのひ~♪すっきりのひ~♪まったりのひ~♪」 なんだか哀れでした。人間さん達はれいむ達に見向きもしません。 それでもれいむ達は歌うのをやめません。 「れーみゅたちのおうたでゆっくりちていっちぇにぇ!」 「おうちゃをきかしぇちぇあぎぇりゅかりゃ、あまあまをちょーらいにぇ!」 ちびれいむたちも、必死で懇願していました。 「ゆっくりしていってね」 「ゆゆ、ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっくちちちぇいっちぇにぇ!」」」 自分は居ても立ってもいられなくなって、れいむ達に声をかけました。 「ゆゆ、みたことのないまりさだね!」 「おうたをうたっていて、ほんとうにあまあまがもらえるの?」 「ゆゆ、れいむはおうたがじょうずだからね!」 れいむの脇には、なにか硬いものでできた、細長い入れ物が置いてありました。 中を覗いてみると、飴さんが二つに、キャラメルさんが二つ、 それからグミさんとチョコレートさんのカケラが一つずつ入っていました。 なるほど、このれいむ達が、どうにか暮らしてゆけるくらいの食べ物は、手に入るようでした。 「まりさも、れいむのゆっくりしたおうたをきいてゆっくりできたから、これをあげるね」 自分はその硬い入れ物の中に、採って来た木の実さんを一つ、入れました。 「ゆゆ、ありがとう!まりさはやさしい“びゆっくり”だね!」 「「「ありがちょーにぇ!」」」 その木の実さんは、本当はありすにあげるはずのものでした。 でも、ありすの処へは戻れません。だから、れいむにあげたのでした。 このれいむも、番相手とはぐれたようだったので、せめてもの罪滅ぼしに、と思ったのです。 その日の夜は、一人で(以前見つけたのとは別の)こーえんで過ごしました。 一人で眠るのは久しぶりでした。いろいろなことを考えました。 風はまだ冷たくて、どうにかこうにか落ち葉さんを集めて、震えながら眠りました。 次の朝目が覚めて、いつものとおり食べ物を探していると、自分と同じゆっくりまりさに出会いました。 「ゆゆ、みたことのないまりさだぜ!」 まりさも、あのれいむと同じことを言いました。 どうやら野良のゆっくりというのは、飼いゆっくりは言うに及ばず、 野生のゆっくりよりも、見たことのないゆっくりへの警戒心が強いようでした。 きっと、ゆっくりにとってなんの掟も無い街の中で、 うっかりしていると食べ物やおうちを盗られてしまうからでしょう。 しかし自分にそんな考えが無いと知ると、 まりさは随分と打ち解けて、いろいろな事を話してくれました。 家族やおちびちゃんは居ないのかと聞くと、 「まりさはいっぴきおおかみなのぜ!そんなものはすててきたのぜ!」と答えました。 どうやらこのまりさも自分と同じく、番相手やおちびちゃん達を捨ててきたようでした。 まりさは変なしゃべり方をするゆっくりでした。 言葉のお尻に、「のぜ!」とか「だぜ!」とか、そんなものを付けてしゃべりました。 まりさは自分のことを「きっすいののらなのぜ!」とも言っていました。 つまり、まりさの両親も、野良ゆっくりだということなのでしょうが、 どうやらそれは、まりさにとって誇りのようでした。 なぜだかは、よくわかりませんでした。 わたしはこの変なまりさと、一緒に行動することにしました。 一緒に狩りをして、一緒にむしゃむしゃして、一緒に眠りました。 自分とまりさとは同じ種類のゆっくりなので、 お互いゆん愛感情を抱くことはありませんでした。 自分はなんとなく、このまりさと一緒に居るに過ぎないのでした。 それからしばらくしたある日、 まりさが自分に「いいところへつれてってやるんだぜ!」と言って来ました。 随分暖かくなってきた頃で、食べ物も充分に確保できていたので、 自分はまりさの言う「いいところ」へ付いて行くことにしました。 まりさに付いて行ったその先には、一軒の、例の分厚くて茶色い紙さんでできたおうちがありました。 中にはありすが居るのが、遠くからでもわかりました。 勿論、あの、自分が“ひどいこと”をした、あのありすではありませんでした。 「たまにはいきぬきもひつようなんだぜ!」 まりさはそう言いましたが、自分には何がなんだかわかりませんでした。 「あのありすは“ゆんばいふ”なのぜ!」 “ゆん売婦”―――はじめて聞く言葉でした。 まりさの言うゆん売婦とは、食べ物と引き換えに、 すっきりをさせるゆっくりのことでした。 自分はまりさに薦められるままに、そのありすのおうちへ入っていきました。 「いらっしゃい……あら、びゆっくりさんだわ。ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね」 近くで見るとそのありすは、思っていたよりも綺麗なゆっくりでした。 少し年をとっているように見えましたが、 自分なんかよりよっぽど、美ゆっくりといえました。 自分は随分緊張していましたが、ありすの艶々しさに欲求を抑えられなくなり、 結局、すっきりをしました。 「こんなことをして、おちびちゃんができたらどうするの?」 少し落ち着いた自分は、ありすに尋ねました。 「ありすはもともとにんげんさんのところにいたの。そのときに“きょせい”されたのよ」 「“きょせい”?」 「そう。ぺにぺにをきって、まむまむにあついぼうをいれて、おちびちゃんができないようにするのよ」 ありすは悲しい顔をしました。 「だからこうしてすてられても、おちびちゃんのできないありすと いっしょになってくれるゆっくりはいないのよ」 生きるために、と言ったらなんだか美化しすぎているようですが、 このありすがゆん売婦になったことは、 ある意味当然の流れだったのかもしれないと思いました。 きっとありすはこの先もずっと、 そのゆん生が終わるまで、たった独りで生きてゆくのだと、その時は思いました。 帰り際に、ありすは自分を呼び止めて、こう忠告しました。 「あのまりさは“げす”なんだから、あんまりなかよくしないほうがいいわ」 “ゲス”―――ゆっくりにとって最低の称号でした。 ゆっくりがナマモノなら、ゲスはそのナマモノですらない、本当のクズでした。 一緒に居るまりさのことを、こんな風に言われたのは少し心外でしたが、 どういうわけか、自分はそのゲスという言葉を忘れられませんでした。 その後しばらくして、まりさと自分は些細なことでケンカをして、別々に行動することになりました。 まりさと自分は、それまで溜め込んだ食べ物を半分ずつに分けることにしました。 そのとき、まりさの帽子が随分膨らんでいるのに気が付きました。 でも、自分は見て見ぬ振りをしました。 まりさがそんなことをしたので、自分の取り分は僅かになりました。 でも、自分はそれに文句を言いませんでした。 自分はその食べ物を、ゆん売婦のありすの処へ持っていって、あるだけ使ってしまうことにしました。 「こんなにつかってしまって、だいじょうぶなの?」 「しんぱいないんだぜ……ありすはえんりょなくうけとるといいんだぜ」 「でも……もうすぐあめさんのきせつになるわ。とっておかないとたいへんよ」 自分はあのまりさに影響されたのか、知らないうちに変なしゃべり方をするようになっていました。 ありすは自分に少し好意を持っているようで、自分のことをしきりに心配していました。 (自分は元々、ゆっくりありすに好意をもたれることの多いゆっくりでした) 自分はありすのその好意につけ込んで、あるお願いをしました。 「じゃあ、しばらくありすといっしょにいさせてほしいのぜ」 ありすは頬を赤らめました。 すっきりは沢山したのに、なんだか不思議なことにも思えました。 自分はありすが嫌いではありませんでした。嘘ではありません。 しかし、自分のこの求婚とも取れる発言は、 純粋な好意から来たものでなかったことも、否定できない事実でした。 ありすはゆん売婦をして稼いだ沢山の食べ物を、 他のゆっくりと交換して、保存のきく食べ物に代えていました。 自分はよく、ありすから“さーびす”として、“こと”が終わった後、その食べ物を一緒に食べていました。 ありすのおうちに蓄えてある、あの食べ物があれば、かなり長い間ゆっくりできる。 「そういうかんがえはなかった」と言うことは、自分には出来ませんでした。 自分は、ゆん売婦のありすと番になりました。 ありすはゆん売婦を辞め、二人でゆっくりとした毎日を送りました。 しばらくすると雨さんの季節になりましたが、 おうちの屋根には雨さんを弾く、青いものが被せてあったので、平気でした。 自分とありすはときどき、雨さんの音を聞きながら、ただ快楽のためだけに、すっきりをしました。 すっきりをするとのどが渇きます。自分が雨さんを汲んで飲もうとすると、ありすがそれを止めました。 「こっちにもっと、とかいはなおみずさんがあるわ」 ありすは床に開いた穴から、細長くて透明で、それでいて硬い入れ物を取り出しました。 その細長いものの中には、お水さんが入っていました。 「おみずさんなのぜ?」 「“おさけさん”よ」 “お酒さん”―――それが自分のゆん生を大きく変えました。 変なにおいのするそのお水さんは、口に含むとなんとも奇妙な味がしましたが、 ほのかに甘く、しかもだんだんと、ゆっくりとした気分になってくるのでした。 自分は次第に、そのお酒さんの虜になってゆきました。 雨さんの季節が終わる頃には、自分はもうお酒さん無しでは生きてゆけないようになっていました。 はじめのうちは、毎晩、そのうちに、昼夜問わず、来る日も来る日も、お酒さんをあおりました。 そしてだんだん寒さを感じるようになった頃に、沢山あったはずのお酒さんは、底を尽きました。 「ありす、おさけさんがほしいんだぜ……」 「きのうのんだぶんで、もうさいごよ」 絶望的な宣告でした。 「だったら、ここにあるあまあまさんと、こうかんしてこればいいんだぜ……」 「むりよ。おさけさんは“おかねさん”がないと、こうかんしてもらえないわ」 自分はお酒さんが貴重なものだと理解していませんでした。 野菜さんや、あまあまさんや、虫さんといったものは、他のゆっくり達と交換することで手に入りました。 しかし、お酒さんは、人間さんと交換しなければ手に入らないものだったのです。 人間さんは、自分達ゆっくりと、物々交換をしてくれません。 唯一、交換してくれる場合というのは、それはお金さんを持って行った場合だけでした。 「じゃあどうして、ありすはおさけさんをもっていたのぜ……?」 「むかし、かいゆっくりのおきゃくさんがいたのよ。そのおきゃくさんがくれたの」 自分はこの時、半ばやけになっていて、後先を考える余裕など無く、ただお酒さんを欲していました。 そして遂に、ありすに対して絶対に言ってはならないことを言ってしまいました。 「だったら、もういちど“ゆんばいふ”になればいいんだぜ……」 そこから先はハッキリとは覚えていません。 あまりに悲惨な光景だったので、思い出したくないのかもしれません。 ただ、ありすの凄まじい泣き声と、見たことも無い悲しい顔だけは、覚えています。 自分とありすは、別れることになりました。 出て行くのは、またしても自分でした。 ありすは自分(まりさ)のことを、ゆん生で唯一、 自分(ありす)を愛してくれるゆっくりだと、思い込んでいたようでした。 しかし、それはありすにとって勘違いというか、不運というか、気の毒なこととしか、言い様がありませんでした。 自分は、ゆっくりがゆっくりを好きになる―――そういう感情が一切、理解できないゆっくりなのでした。 自分のおちびちゃんすら、愛することのできないゆっくりなのでした。 もし、愛しているゆっくりが居るとすれば、それはたった一匹、他でもない、自分自身でした。 みんなは、そういうゆっくりを、“ゲス”と呼びます。 自分は気が付かないうちに、ゲスになっていました。 いえ、あのれいむを置いて森を出たときから、既にゲスだったのかもしれません。 口調も、行動も、そして長い野良生活でボロボロになった外見も、まさに醜いゲスそのものでした。 完璧な、ゲスでした。他のどのゆっくりよりも、ゲスでした。 ゆっくり、失格。 もはや、自分は、完全に、ゆっくりで無くなりました。 (おしまい) ☆☆☆☆☆ 七割方書いてから、別の作者さんが「ゆっくり失格」というSSを既に発表してらっしゃることに気づきました。 「ひらがなだからゆるしてね!ひどいことしないでね!」 (過去作) ゆっくりいじめ系2909 偏愛 ゆっくりいじめ系2999 おはなありす 選択肢 投票 しあわせー! (16) それなりー (0) つぎにきたいするよ! (0) 名前 コメント すべてのコメントを見る